作図

作図とは



作図という言葉は、分野によって異なる意味を持つ言葉です。大きく分けて、初等幾何学における作図と、工学における作図の2つがあります。それぞれの分野における作図について詳しく解説します。

初等幾何学における作図



初等幾何学における作図とは、与えられた条件に基づいて、定規とコンパスのみを用いて図形を描く操作を指します。この作図は、古代ギリシャの時代から数学的な研究対象として扱われてきました。作図問題は、特定の図形が与えられた道具だけで描けるかどうかを問うものであり、その可否が数学的な興味の対象となってきました。

作図で用いられる道具

定規: 定規は、2点間を結ぶ直線を引くために使われます。ただし、目盛りは使用しません。
コンパス: コンパスは、ある点を中心とする円を描いたり、2点間の距離を測り取ったりするために使われます。

作図の例

与えられた線分の垂直二等分線を引く
与えられた角の二等分線を引く
与えられた直線上に垂線を引く
与えられた円に内接する正多角形を描く

これらの作図は、定規とコンパスを組み合わせることで可能になります。しかし、作図可能かどうかは、作図の対象となる図形によって異なります。たとえば、正七角形は、定規とコンパスだけでは作図できないことが証明されています。

作図の歴史

古代ギリシャの数学者たちは、作図問題に大きな関心を寄せていました。彼らは、多くの基本的な図形が定規とコンパスで作図できることを発見しましたが、同時に、いくつかの図形が作図できないことも知っていました。たとえば、円積問題、角の三等分問題、立方体倍積問題は、長らく数学者たちを悩ませてきた古典的な作図不可能問題として有名です。これらの問題は、19世紀になって、作図不可能であることが証明されました。

工学における作図



工学における作図とは、一般に製図と呼ばれる、設計図や図面を作成する行為を指します。この作図は、製品の設計や建築物の設計など、様々な分野で不可欠な作業です。工学における作図は、単に図形を描くだけでなく、寸法や材料、加工方法などの情報を正確に伝えることが求められます。

製図の道具

工学における作図で用いられる道具は、製図版、三角定規、製図ペン、コンパス、分度器、テンプレートなど、多岐にわたります。近年では、CAD(Computer-Aided Design)と呼ばれるコンピュータを用いた製図も広く利用されています。

製図の種類

機械製図: 機械部品や装置の設計図を作成する
建築製図: 建築物の設計図を作成する
電気製図: 電気回路の設計図を作成する
土木製図: 土木構造物の設計図を作成する

製図の規格

製図には、JIS(日本産業規格)などの規格に基づいて描くことが求められます。規格を守ることで、図面の誤読や誤解を防ぎ、製品の製造や建設を円滑に進めることができます。

まとめ



「作図」という言葉は、初等幾何学工学という異なる分野で、それぞれ異なる意味を持ちます。初等幾何学における作図は、数学的な興味の対象であり、図形を構成するための基礎的な操作です。一方、工学における作図は、製品や建築物の設計図を作成するための実務的な作業です。このように、同じ言葉でも分野が異なれば意味が異なることを理解することが重要です。

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