作業環境測定法

作業環境測定法について

作業環境測定法は、労働者の健康を保護するために、作業環境の測定に関する事項を定めた日本の法律です。正式名称は「作業環境測定法（昭和50年5月1日法律第28号）」です。この法律は、作業環境測定士の資格や作業環境測定機関の登録などについて必要な事項を定めています。また、事業者が行うべき作業環境測定の義務を定めており、職場における労働者の健康維持に重要な役割を果たしています。

法成立の背景

この法律が制定された背景には、当時の深刻な職業性疾病問題がありました。労働災害の防止と労働者の健康を守るためには、作業環境の改善が不可欠であり、そのためにはまず、作業環境の実態を正確に把握することが重要であると考えられました。作業環境の測定には専門的な技術が必要であることから、政府は法整備を決定し、中央労働基準審議会での諮問を経て、1975年（昭和50年）に法案が成立しました。同年8月1日に一部を除き施行されました。

法律の構成

作業環境測定法は、以下の章で構成されています。

第1章：総則（第1条－第4条）
第2章：作業環境測定士等
第1節：作業環境測定士（第5条―第19条）
第2節：指定試験機関（第20条―第31条）
第3節：登録講習機関（第32条）
第4節：指定登録機関（第32条の2）
第3章：作業環境測定機関（第33条―第37条）
第4章：雑則（第38条―第51条）
第5章：罰則（第52条―第57条）

法律の目的と定義

この法律の目的は、労働安全衛生法と連携し、作業環境測定に関する必要な事項を定めることで、適切な作業環境を確保し、職場で働く人々の健康を保持することです（第1条）。作業環境測定法は、労働安全衛生法と一体的に運用されるべきものとされています。

この法律では、以下の用語が定義されています。

事業者: 労働安全衛生法第2条3号に規定される事業者を指します。
作業環境測定: 労働安全衛生法第2条4号に規定される作業環境測定を指します。
指定作業場: 労働安全衛生法第65条1項の作業場のうち、政令で定められた作業場を指します。
作業環境測定士: 第一種作業環境測定士と第二種作業環境測定士を指します。
第一種作業環境測定士: 厚生労働大臣の登録を受け、指定作業場での作業環境測定を行うことができる資格者です。また、指定作業場以外の事業場においても、作業環境測定業務を行うことができます。
第二種作業環境測定士: 厚生労働大臣の登録を受け、指定作業場での作業環境測定を行うことができる資格者ですが、厚生労働省令で定める機器を用いた分析業務は除かれます。第一種と同様に、指定作業場以外の事業場でも測定業務が可能です。
作業環境測定機関: 厚生労働大臣または都道府県労働局長の登録を受け、他人の求めに応じて事業場の作業環境測定を業として行う者を指します。

作業環境測定の実施

事業者は、指定作業場において作業環境測定を行う場合、自社で雇用する作業環境測定士に実施させなければなりません。自社で実施できない場合は、作業環境測定機関に委託する必要があります。ただし、厚生労働大臣が指定する機関に委託する場合は例外となります（第3条）。

作業環境測定は、作業環境測定基準に従って行われる必要があります（第4条）。

作業環境測定士の資格

作業環境測定士の資格を得るには、作業環境測定士試験に合格し、厚生労働大臣または都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習を修了する必要があります。また、これと同等以上の能力を持つと認められる者も資格を得ることができます（第5条）。

労働基準監督官の役割

労働基準監督署長及び労働基準監督官は、この法律の施行に関する事務を担います（第38条）。

作業環境測定と労働者の健康

作業環境測定法は、労働者の健康と安全を守るために重要な法律です。事業者は、この法律に基づき、作業環境を適切に管理し、労働者の健康を維持する責任を負っています。

外部リンク

* 作業環境測定法 e-Gov法令検索

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