使徒、襲来

エヴァンゲリオン：使徒、襲来

『新世紀エヴァンゲリオン』の第一話「使徒、襲来」は、1995年に放送されたアニメシリーズの重要な幕開けを飾ります。このエピソードは、世界的な大災害「セカンドインパクト」から15年後の要塞都市・第3新東京市を舞台に、主人公の少年碇シンジが未確認の敵「使徒」と戦うため、特務機関NERVに呼び出されるところから始まります。

通常の兵器では歯が立たない使徒に対抗するため、シンジは汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオンの操縦を命じられます。初めは拒否するシンジですが、出会った綾波レイの重傷を目の前にしたことで、彼はエヴァへの搭乗を決意します。物語は、父である碇ゲンドウの冷徹さや、シンジの葛藤と成長を描きながら進みます。

制作背景

「使徒、襲来」の制作は1994年9月から始まり、ガイナックスの庵野秀明が脚本と監督を担当しました。このエピソードの制作は、当時の日本のアニメ界に深い影響を与えることとなり、視聴者からは高く評価されました。視聴率は初回に6.8%を記録し、その映像美やストーリーテリングは多くのアニメファンや批評家の心をつかみました。

このエピソードは、特撮作品や古典的なアニメからの影響を受けており、サキエルの登場や戦略自衛隊との闘争シーンは視覚的にも印象的なものとなっています。シンジが直面する様々な感情は、物語の核心を成し、彼の内面の葛藤を強く印象づけます。

物語のテーマ

「使徒、襲来」では、親子関係や対人関係が重要なテーマとなっています。特に、シンジとゲンドウの関係は冷たく、父からの期待に応えようとするシンジの苦悩は、多くの視聴者に共感を呼び起こします。物語の中でシンジが「逃げちゃダメだ」と発言する場面は、彼の成長や心の変化を象徴しており、シリーズ全体を通じて繰り返される重要なフレーズとなっています。

本話の構成は、イン・メディアス・レスという技法を用いており、視聴者は物語の背景や登場人物の過去を少しずつ再構築していく形で進んでいきます。この手法は物語に奥深さをもたらし、視聴者に登場人物たちの意外性を感じさせる要因となります。

文化的影響

このエピソードには、兵器やメカデザインが実在のものに基づいている点でも評価されています。特に74式戦車やYak-38を模した航空機が登場し、リアリズムとサイエンスフィクションの要素を一体化した新たな視点を提示しました。視覚的な演出においても、従来のアニメ作品にない独自のスタイルを確立し、その後のアニメ制作に多大な影響を与えました。

視聴者の反響

放送後、このエピソードは批評家からも一般視聴者からも高く評価され、数多くの賞や名場面投票で上位に入るなどしました。特にシンジと綾波レイの初対面のシーンは印象深く、視聴者の記憶に鮮明に残ります。また、アニメ内でのシンジの心の変化や葛藤は、多くの視聴者に深く共感される内容となっており、作品全体への興味を引き立てました。

「使徒、襲来」は、エヴァンゲリオンシリーズの総合的なテーマを描く重要な基盤となるエピソードであり、視聴者に強い印象を与え続けている作品です。

もう一度検索