侠飯

侠飯シリーズ：ヤクザと極上グルメの異色コラボレーション

福澤徹三による小説シリーズ『侠飯（おとこめし）』は、ヤクザの抗争に巻き込まれた就活中の大学生や社会人が、ヤクザと奇妙な共同生活を送る中で、想像を超える極上料理を堪能する物語です。2014年に文藝春秋より文庫書き下ろしで第1作が刊行されて以来、複数の続編が発表され、人気シリーズとなっています。

シリーズの特徴は、何と言ってもヤクザの組長やその手下たちが作る、見るからに美味しそうな料理の数々です。それぞれの巻で、異なる主人公とヤクザたちが織りなす物語が展開され、毎回登場する料理は、読者の食欲を刺激するだけでなく、物語に彩りを添えています。

ストーリーの概略

それぞれの作品では、主人公となる若者たちが、それぞれ異なる状況下でヤクザと関わりを持ち、彼らの住処で共同生活を送ることになります。最初は恐怖に慄く主人公たちも、ヤクザたちが作る料理の美味しさに次第に心を許し、やがて友情のようなものが芽生えていきます。

侠飯: 就職活動に苦戦する大学生、若水良太は、ヤクザの抗争に巻き込まれ、組長の柳刃竜一を自宅にかくまう羽目になります。
侠飯2 ホット＆スパイシー篇: リストラ対象となった真鍋順平は、個性的な店長が営むランチワゴンに出会い、そこで出会う料理に癒されます。
侠飯3 怒濤の賄い篇: ヤミ金業者の渋川卓磨は、地上げ交渉のためヤクザの組に潜入し、そこで絶品料理を味わうことになります。
侠飯4 魅惑の立ち呑み篇: 多忙な日々を送る国会議員秘書、藤堂旬一郎は、立ち呑み酒屋で出会うヤクザと不思議な関係を築いていきます。
侠飯5 嵐のペンション篇: 奥多摩のペンションでアルバイトをする湯原和斗は、宿泊客とヤクザ、そして未解決事件に巻き込まれていきます。
侠飯6 炎のちょい足し篇: ひきこもりの風見蓮太郎は、自立支援施設でヤクザと出会い、新たな展開を迎えます。
侠飯7 激ウマ張り込み篇: 新米刑事の乾正悟は、薬物疑惑の芸能人の張り込み中に拉致され、ヤクザの事務所で捜査官と出会います。

どの作品も、ヤクザという一見すると反社会的な存在と、平凡な若者たちの交流を通して、人間の温かさや意外な繋がりを描いています。そして、その背景を彩る料理の数々は、物語に深みを与え、読者の五感を刺激します。

多様なメディア展開

『侠飯』シリーズは、小説のみならず、多様なメディアに展開されています。

テレビドラマ: 2016年には、生瀬勝久主演でテレビドラマ化され、話題を呼びました。
漫画: 薩美佑による漫画版も週刊ヤングマガジンで連載され、原作小説の世界観を新たな形で表現しています。
電子書籍: 電子書籍版では、漫画版の第1話と第2話が収録されているものもあります。
レシピ本: ドラマ版に登場した料理のレシピを紹介した電子書籍も発売されています。
オーディオブック: 諏訪部順一によるオーディオブック版も配信されています。

このように、小説から派生した様々なメディア展開も魅力の一つであり、『侠飯』シリーズの世界観をより深く楽しむことができます。

登場人物

シリーズを通して共通して登場する人物もいれば、各巻ごとに異なる主人公が登場します。

主要人物として、左頬に大きな傷を持つ料理好きのヤクザ、柳刃竜一の存在感が際立っています。彼の存在は、シリーズ全体を繋ぐ重要な要素となっています。

その他の登場人物も、それぞれ個性豊かで、彼らの行動や関係性が物語を面白くしています。

『侠飯』シリーズは、ヤクザと料理、そして人間模様という意外な組み合わせが魅力的な作品です。それぞれの巻で異なる物語が展開されるので、どの巻から読んでも楽しめます。独特の世界観と美味しそうな料理の数々に魅了されること間違いなしです。

もう一度検索