保司

保司（ほうし）とは

保司とは、中世日本において国衙領の一種である「保」を管理する在庁官人のことを指します。これは特に平安時代後期から鎌倉時代にかけての日本において、その役職が重要視されたことを背景にしています。この役職は、当時の土地制度における細かい管理を行うためのものであり、各地域における年貢の徴収や土地の管理を担当しました。

保と荘園の違い

保は、荘園の小規模な形態と考えられることがありますが、元々は天領を指しており、私領に対して庄と呼ばれるものが存在します。この違いは非常に重要であり、天領は国家が直接管轄する土地を意味します。したがって、保司が管理していたのは、国から派遣された公的な官人によって運営される土地だったのです。

歴史的背景と記録

吾妻鏡には、文治二年（1186年）閏七月二十二日に源頼朝が平康頼を阿波国の天領麻植保の保司に任命したという記録が残されています。この任命は、当時の権力構造を示す重要な要素です。この記述によれば、麻植保から上がる年貢は、宮中にある内蔵寮（ないぞうりょう）へと納められることになっています。この制度は、国家運営における経済的基盤を確立するためのものであり、保司の役割は非常に大きかったと言えます。

役割と機能

保司は、地域の農民から年貢を徴収し、その管理を行うだけでなく、土地に関連する紛争の解決や、地域の治安維持にも寄与していました。また、保司は国家と地域の橋渡しをする役割も果たし、土地の利用状況や農作物の品質について報告を行う義務がありました。そのため、保司の存在は地方行政の要とも言えるもので、彼らの行動が地域の経済活動に大きな影響を与えていました。

結論

このように、保司は中世日本において重要な役職であり、国衙領の管理において中心的な役割を果たしました。天領と私領の違いを理解することが、当時の政治経済の仕組みを知る上で不可欠と言えるでしょう。今後の研究でも、この職務の詳細や関連する制度についての新たな知見が期待されます。

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