信和事業協同組合

信和事業協同組合：東京のタクシーネットワーク

信和事業協同組合は、東京都内を拠点とするタクシー事業者の協同組合で、東京23区、武蔵野市、三鷹市を主な営業エリアとしています。一般には「中央無線」という名称で知られ、都内タクシー業界において一定の規模を誇ります。

概要

1964年に組織化されたこの組合は、1974年から「中央無線」の名称を使用し始めました。組合の本部は江東区大島に位置しており、以前は荒川区南千住にありましたが、2012年10月に現在の場所へ移転しました。中小23社、1,650台のタクシーが加盟しており、東京都内のタクシー協同組合としては、東京無線、チェッカーキャブに次ぐ規模を誇ります。

2011年6月には、大和自動車交通との提携を開始し、車両仕様、乗車券、無線配車システムなど、大和自動車交通グループの一員として運営されています。公式ウェブサイトも大和自動車交通グループのサイトとして機能しています。

形態

独自営業時代

以前は、朱色を基調とした車体に青色の帯を巻き、黄色の横長行灯を装着した共通の仕様を採用していました。1980年以前には、車体全体が朱色でボンネット部分のみが白色、行灯には白地に加盟会社の社名と社章が紺色で記載された車両も存在しました。「ブルーラインタクシー」という愛称の深夜営業専用車は、白地に水色と青色の帯が入った独自のカラーリングで識別されていました。

ワゴンタクシーについては、共通の仕様はなく、黒塗りのハイグレード車やベーシックグレード車も導入されていました。

無線配車システムは、2010年までに富士通ゼネラル製のデジタル無線配車システムを全加盟車両に搭載する計画でしたが、2011年時点でも非無線車が多く残存していました。このシステムは、基地局からのポーリング方式と各車両からの任意発呼方式を併用した独自の方式を採用していました。

大口契約先としては、大日本印刷やフジテレビジョンがあり、特にフジテレビジョンについては、船の科学館付近に常に車両を待機させ、即時配車が可能な体制を整えていました。この待機には、各社から選抜された乗務員のみが従事していました。

大和自動車交通提携後

2011年12月から、車両の塗色や行灯などを順次大和自動車交通の仕様へ変更し、2013年3月には全車両が無線対応となりました。しかし、2022年現在でも、旧中央無線に加盟していた事業者の中には、無線番号と異なる番号のナンバープレートを装着している車両も見られます。

歴史

1964年：大和倶楽部共同営業委員会として発足。
1974年：無線営業母体として「東京中央自動車協同組合」設立。「中央無線」の愛称で営業開始。
1984年：松竹タクシーグループのムサシ交通（旧）が加盟。
1985年：中央無線タクシー協同組合に改称。本所タクシーが東京無線に移籍のため脱退。目黒自動車交通が加盟。
1986年：多摩川ハイヤー系列の南部自動車が加盟。
1989年：ムサシ交通（旧）が第二松竹タクシーに改称。さくら交通が第三松竹タクシーに改称。
1994年：同進交通が東京無線に移籍のため脱退。
1996年：こだま交通が日本交通に、真和タクシーが大和自動車交通に事業譲渡のため脱退。
1998年：山手グループのサンベスト東信が加盟。
1999年：松竹事業が京王交通に事業譲渡のため脱退。
2000年：第四松竹タクシーが設立。
2002年：第三松竹タクシーがコーディアルタクシーに改称。
2003年：日停モータースが飛鳥交通に吸収合併のため脱退。内山観光バス（タクシー部）が加盟。
2004年：北斗システム輸送・大同自動車・ワカイ交通が加盟。
2005年：南部自動車が廃業。ワカイ交通が脱退し非無線営業に戻る。
2006年：マルコータクシーが加盟。東京ラッキー自動車が国際自動車と業務提携のため脱退。電子マネーEdyを採用。
2007年：松竹交通・コーディアルタクシー・第四松竹タクシーが帝都自動車交通と業務提携のため脱退。Edyハッピー優待を実施。第二松竹タクシーはムサシ交通に社名を戻し、松竹タクシーグループから独立し中央無線には残留。
2009年：ムサシ交通・大洋自動車交通が帝都自動車交通と業務提携のため脱退。丸正自動車が廃業。
2010年：山手交通と新進タクシーが国際自動車との業務提携により脱退。帝全交通が昭栄自動車に事業譲渡され同社葛飾営業所として加盟（2013年廃止）。内山観光タクシーが東都自動車に売却されたため脱退。
2011年：日幸が加盟。Edyの取り扱いを廃止。
2012年：盈進自動車が加盟。北斗システム輸送が脱退。残りの加盟会社は大和グループ車両に順次変更。
2014年：金龍自動車交通が日本交通に営業譲渡され日交足立に改称し脱退。
2016年：国際電気（足立区梅田）が事業を停止。その後、グループ内の大同自動車・北光自動車交通ならびに新規設立し本グループへ加盟した東京ラッキー自動車へ営業権を分割譲渡。
2017年5月30日：信和事業協同組合と改称し、大和自動車交通の分社子会社6社も加盟。
2018年：昭栄自動車、改進タクシー、日日交通が日本交通と業務提携のため脱退。
2020年：丸井自動車が大和自動車交通の子会社化。
2022年4月1日：マルコー観光タクシーおよびマルコーリムジンが廃業。
2023年2月：サンベスト東信が本組合からの脱退およびそれに伴う大和自動車交通との提携解消を表明。
2023年4月1日：十全交通が加盟。
2024年4月1日：
大和自動車交通羽田が大和自動車交通王子に社名変更。
大和自動車王子が大和自動車交通吉祥寺に社名変更し、三鷹市下連雀に移転。
丸井自動車が大和自動車交通北千住に社名変更。
太洋モータースが加盟。

信和事業協同組合は、その長い歴史の中で、様々な変遷を経て現在に至っています。大和自動車交通との提携を機に、組織や車両体制を大きく変えながらも、東京のタクシー輸送の一翼を担い続けています。

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