信濃川発電所

JR東日本信濃川発電所：信濃川流域の電力供給と地域貢献

JR東日本が所有・運営する信濃川発電所は、新潟県信濃川流域に位置する大規模水力発電所です。千手発電所、小千谷発電所、新小千谷発電所の3つの発電所から構成され、合計出力は44万9000キロワットに達します。これはJR東日本が消費する電力の約4分の1を供給する規模です。

発電所の歴史と構成

信濃川発電所の建設は、1919年（大正8年）に発布された「国有鉄道運輸二関シ石炭ノ節約ヲ図ルノ件」という石炭節約を目的とした議案に端を発します。長年に渡る計画・準備期間を経て、各発電所の運転開始は、千手発電所が1939年（昭和14年）、小千谷発電所が1951年（昭和26年）、新小千谷発電所が1990年（平成2年）となりました。

千手発電所

1939年運転開始。信濃川に建設された宮中取水ダムから取水した水を利用し、5台の水車発電機で12万キロワットの発電能力を有します。建設当初から省線の電気運転を支える重要な役割を担い、時間帯に応じた需給調整のための調整池も設置されています。現在、2027年3月の完工を目指した改修工事が進行中で、発電機は5基から4基に減少しますが、予備機を含めた実質的な発電能力に変更はありません。宮中取水ダムは東京電力の信濃川発電所の放水路下流に位置し、同発電所使用済みの水も取り入れています。

小千谷発電所

1951年運転開始。千手発電所からの放水を水路で導水し、山本調整池を経て発電を行います。5台の水車発電機で12.3万キロワットの発電能力を有します。

新小千谷発電所

1990年運転開始。宮中取水ダムから新たに設けられた取水口から取水し、山本第二調整池を経て発電を行います。2台の水車発電機で20.6万キロワットの発電能力を有します。

不正取水問題と東日本大震災

2008年、JR東日本信濃川発電所は、許可された水利権を超える取水と過少放流を行っていた不正が明るみに出ました。この問題により、2009年2月から2010年6月まで発電が停止されました。

2011年3月11日に発生した東日本大震災では、東京電力の発電所の被災による電力不足を受け、信濃川発電所は発電量を増やし、東京電力への電力融通に貢献しました。

地域との共生

JR東日本は、信濃川発電所を単なる発電施設としてではなく、地域社会との共生を重視した運営に取り組んでいます。具体的には、中魚沼漁業協同組合や新潟水辺の会と協力したサケ稚魚放流や、小千谷市と協業した「市民の家・小千谷信濃川水力発電館『おぢゃ〜る』」の開設など、地域貢献活動に力を入れています。

信濃川発電所の将来

千手発電所の改修工事の完了、地域との連携強化など、信濃川発電所は今後も信濃川流域の電力供給と地域社会の発展に貢献していくことが期待されます。 歴史的な経緯、技術的な工夫、そして地域社会との関わりなど、多角的な視点から信濃川発電所の意義を理解することは、持続可能な社会への貢献を考える上で重要です。

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