個人情報保護士

個人情報保護士とは

個人情報保護士とは、一般財団法人全日本情報学習振興協会が認定する民間資格です。個人情報保護法に関する専門的な知識を持ち、企業などにおいて個人情報を適切に管理・運用できる能力を持つ人材を育成・認定することを目的としています。

2005年の個人情報保護法全面施行に合わせて試験が開始され、多くの企業で個人情報保護の専門家として活躍しています。例えば、日立ソリューションズグループでは、2014年時点で約800人の社員が個人情報保護士の資格を持ち、各部署に課長職以上の有資格者を配置していました。

試験概要

個人情報保護士認定試験は、年4回、全国20か所以上の会場で一斉に実施されます。試験内容は、個人情報保護の総論やマイナンバー制度に関する知識を問う「課題1」と、個人情報保護のための具体的な対策を問う「課題2」の2つに分かれています。

課題1： 個人情報保護法の背景や内容、マイナンバー制度に関する理解度を測る問題（35問）
課題2： 個人情報保護のリスク分析や安全管理措置に関する問題（15問）

試験はマークシート形式の択一問題で、試験時間は150分（休憩なし）です。受験資格に制限はなく、誰でも受験することができます。受験料は団体割引が適用される場合があります。

合格基準は、課題1と課題2それぞれで70％以上の正答率が必要です。試験問題用紙は持ち帰ることができ、正答は個人情報保護士会のウェブサイトで公開されます。合否結果は、試験実施から約1ヶ月後に主催団体のウェブサイトで確認できます。過去の平均合格率は約37％です。

試験対策として、主催団体は試験前に「認定試験対策セミナー」を開催しています。セミナーは代々木ゼミナール本部校で実施され、サテライトゼミ形式で全国23箇所に配信されます。

合格者には合格証書と認定カードが交付され、認定ロゴを名刺などに使用することができます。また、合格者は「個人情報保護士会」に入会することができます。

認定カードには2年間の有効期限が設定されていますが、更新試験に合格し、更新料を支払うことで有効期限を2年間延長することができます。

平成28年度からは、課題1にマイナンバー分野が追加されました。マイナンバー実務検定1級・2級合格者は、マイナンバー分野の問題が免除されます。

上級個人情報保護士

個人情報保護士の資格取得後、さらに高度な知識とスキルを身につけたい人のために、「上級個人情報保護士」という資格があります。上級個人情報保護士は、全日本情報学習振興協会が提供するアップグレード講習会を修了した者に与えられます。

認定を受けるためには、所定の受講料を支払い、2日間の講習を受講し、レポートを提出する必要があります。資格更新時には、論文の作成と提出が求められ、合格者のみ資格を更新できます。

上級個人情報保護士の合格率は公表されていません。

主催団体

名称： 一般財団法人全日本情報学習振興協会
所在地： 東京都千代田区神田三崎町3-7-12 清話曾ビル5階
事業内容： 情報関連、パソコン、福祉関連の検定・講習会実施など
理事長: 一松信（東京電機大学教授・京都大学名誉[[教授]]）

類似試験

個人情報保護に関する知識を問う試験は、個人情報保護士以外にもいくつか存在します。主なものとしては、以下のような試験があります。

個人情報保護法検定（個人情報保護スペシャリスト認定試験）
ビジネス実務法務検定試験
認定プライバシーコンサルタント資格
プライバシー保護検定試験
* 個人情報保護オフィサー

以前はトーマツ環境品質研究所が「個人情報保護法実力診断」という試験を実施していましたが、現在は終了しています。

まとめ

個人情報保護士は、個人情報保護に関する専門知識と実務能力を証明する資格として、企業からのニーズが高まっています。個人情報保護の重要性がますます高まる現代において、個人情報保護士の役割はますます重要になっていくでしょう。

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