個人情報保護条例

個人情報保護条例（こじんじょうほうほごじょうれい）

個人情報保護条例は、地方公共団体が保有する個人情報を適切に取り扱うためのルールを定めた法律です。この条例は、地方自治体が住民のプライバシーを尊重し、個人情報を安全に管理することを目的としています。

概要と歴史

1985年6月に川崎市が議決した「川崎市個人情報保護条例」が日本における最初の事例で、翌年の1986年1月1日から施行されました。続いて1990年3月には神奈川県が都道府県として初めて条例を制定し、4月には付属機関設置に関する条例も制定されました。これにより、10月からは5人の委員が2年間の任期で調査審議を開始しました。この動きは他の地方公共団体にも波及し、2005年度末までには、全国のすべての都道府県や市区町村で個人情報保護条例が整備されることとなりました。

さらに、2003年には国の行政機関における個人情報の取り扱いに関する法律が制定され、国レベルでの規範が定められました。しかし、各自治体が制定する条例の内容は微妙に異なり、「個人情報」の定義やその管理・運用方法に一貫性が欠ける状況が続きました。この問題は「（個人情報）2000個問題」として知られ、特に悩ましい状況でした。

法律の改正と現在の状況

こういった問題を受けて、2021年には個人情報の保護に関する法律が改正され、その改正内容は2022年4月から施行されました。この法律改正により、「個人情報」の定義や運用の基本的な枠組みが統一されることとなりました。これを契機に、多くの自治体はそれまでの個人情報保護条例を廃止し、新たに「個人情報の保護に関する法律施行条例」を制定しています。この施行条例は、運用の細部を規定するもので、より具体的な管理体制の構築を目的としています。

まとめ

個人情報保護条例は、地方公共団体が市民の個人情報を守るために必要な法律であり、個人情報に対する意識の高まりとともに制度が進化してきました。今後は、各地方公共団体が新たな法律に基づいて個人情報をどう管理するかが、重要な課題となるでしょう。情報社会において、個人情報の保護はますます重要となっており、住民の権利と自治体の責任の交点にたつ制度整備が期待されます。

脚注

関連書籍として、夏井高人、新保史生『個人情報保護条例と自治体の責務』が挙げられます（ぎょうせい、2007年）。

関連項目

• - 条例
• - 個人情報
• - 個人情報の保護に関する法律
• - 住民基本台帳閲覧制限条例

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