側防塔

側防塔

側防塔（そくぼうとう、英語: fortified tower, defensive tower, castle tower）は、古代から中世にかけて、主にヨーロッパや中近東で築かれた軍事用建築物です。これらは城や城壁の一部として設置され、攻撃からの防御に重要な役割を果たしました。日本語では、側防塔に対して「防衛塔」「城壁塔」などの呼称も用いられ、英語では城壁の角に位置する場合は「corner tower」を、それ以外のものを「flanking tower」と呼び分けることが一般的です。

構造と機能

側防塔は、壁面に対する敵の接近を効率的に防ぐために、幕壁（カーテンウォール）から外側に突き出す形で設置されました。この設計により、側射（横矢掛かり）が可能になり、タワーの上部からは周囲の監視が容易になりました。特に、11世紀から12世紀にかけて、側防塔の利用が広まりました。形状は四角形や多角形、円形、D形（半円形または馬蹄形）と多様です。

初期の側防塔は多くの場合四角形でしたが、12世紀後半になると十字軍の影響を受けて中東から導入されたカタパルトが使用されるようになりました。このため、塔は直方体から多角形を経て円筒形へと進化し、壁の厚みも増していきました。また、城内側の壁を省略した後面開放型の側防塔も存在しました。

塔の上部には狭間付き胸壁が設けられ、塔の側面には狭間窓（射眼、銃眼）が配置され、射手は十分な視界を得られるよう工夫されました。

類似建築物

側防塔には、城の防御を強化するために近接した壁に援護射撃を行うための小型建築物も存在します。これにはタレットや張り出し櫓（バルティザン）が含まれます。これらは大型の側防塔と比べると比較的低コストで建設可能で、戦術的に有利な位置に設置されました。中には土台が不要なものもあり、土台を掘削する必要がなく、設置が容易です。

防衛の工夫

側防塔内部には、敵が登ってくる際に、その武器が壁に当たることで攻撃を妨げる螺旋階段が備え付けられています。この設計により、味方の武器と敵の武器は互いに干渉せず、より効果的に防御が行えるようになっています。

バリエーション

側防塔にはいくつかのバリエーションがあります。例えば、城壁や市壁と接続した塔を「Mauerturm」と呼び、前方に突き出たものは「Flankierungsturm」または「Flankenturm」と言われます。また、後面に壁を持たない「Schalenturm」もあり、攻略されても内側から攻撃を行うことができる利点があります。さらに、「Batterieturm」は多数の銃眼を備えた円形の塔で、「Bärwindmühle」では風車が塔の上に設置されることもあります。

参考文献

側防塔は、防衛建築の進化において重要な役割を果たした施設であり、様々な形状と機能を持つことが特徴です。その多様性は、各地の文化や時代による軍事的ニーズを反映しています。

関連項目

• - ベルクフリート: 城内で最も高い塔で、敵を監視する目的で利用されることが多い。
• - ツヴィンガー: 防衛機構の壁間に設けられたキルゾーン。
• - 監視塔: 敵の接近を早期に発見するための重要な建築物。
• - 避難城: 人々が避難するための要塞としての役割を果たすことがある。

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