僕たちは世界を変えることができない。

僕たちは世界を変えることができない。 - 作品概要と詳細解説

2008年に自費出版された葉田甲太氏のノンフィクション作品『僕たちは世界を変えることができない。』は、カンボジアに小学校を建設するという若者たちの挑戦を描いた感動の実話です。5000部という驚異的な売上を記録した自費出版版は、後に小学館より加筆修正の上で再出版されました。下品な表現が修正された小学館版は、より広い読者層に受け入れられました。

この作品は、2011年に『僕たちは世界を変えることができない。but we wanna build a school in cambodia.』というタイトルで映画化され、全国で公開されました。ドキュメンタリータッチの演出と、主演を務めた向井理さんをはじめとする若手俳優陣の熱演が話題を呼びました。キャッチコピーである「だから、みんなで笑顔をつくった。」は、作品全体のテーマを端的に表しています。映画は興行通信社調べで初登場9位を記録するなど、大きな成功を収めました。

2019年には、映画公開から8年後の物語を描いた続編小説『僕たちはヒーローになれなかった。』があさ出版より刊行されました。前作の感動をさらに深める内容となっています。

ストーリーあらすじ

主人公の田中甲太は、医大生として平凡な日々を送っていました。しかし、ある日ボランティアのパンフレットを見て、150万円を集めればカンボジアに学校を建てられることを知ります。目標金額は、パンフレット記載の団体と世界銀行の協定により、本来300万円かかる建設費用を折半する仕組みを利用したものでした。

甲太は仲間たちと共に、チャリティーイベントなどを企画し、資金集めに奔走します。彼らは、それぞれの個性や葛藤を抱えながらも、目標達成に向けて努力を重ねていきます。物語は、彼らの奮闘と成長、そしてカンボジアの人々との交流を通して、友情や社会貢献、人生の意味といった普遍的なテーマを問いかけています。

映画版の詳細

映画版では、深作健太監督がメガホンを取り、向井理さんが主人公の田中甲太を演じました。ドキュメンタリー風のリアルな描写にこだわった撮影手法や、状況に応じて台詞が変更された即興芝居なども行われたとのことです。

キャスト陣には、向井理さん、柄本佑さん、窪田正孝さん、松坂桃李さんなど、実力派若手俳優が多数出演しています。それぞれのキャラクターの個性や魅力が存分に発揮された演技は、作品全体の質を高める上で大きな役割を果たしました。

主要登場人物

田中甲太 (演：向井理): 物語の主人公。医大生でありながら、人生に物足りなさを感じていた青年。
芝山匤史 (演：柄本佑): 甲太の大学時代の同級生。おとなしく引っ込み思案な性格。
矢野雅之 (演：窪田正孝): 甲太の大学時代の同級生。おとなしいながらも、いざという時は頼りになる人物。
本田充 (演：松坂桃李): 甲太とは別の大学に通う学生。明るく社交的な性格で、イベントの企画・実行能力が高い。
久保かおり (演：村川絵梨): 甲太と同じ医大の学生。看護学科に所属。
近藤教授 (演：阿部寛): 甲太たちが講義を受ける解剖学の教授。カンボジアでの経験を持つ。

その他にも、甲太の恋人、IT企業の社長、カンボジアのツアーガイドなど、個性豊かなキャラクターが登場し、物語を彩っています。

作品の評価と影響

『僕たちは世界を変えることができない。』は、若者たちの社会貢献への取り組みを感動的に描いた作品として、多くの読者や観客から高い評価を得ました。この作品は、社会問題に対する関心を高め、ボランティア活動への参加を促すなど、社会的な影響も与えたと考えられています。映画化による知名度向上も、その影響を大きく後押ししました。

まとめ

『僕たちは世界を変えることができない。』は、若者たちの挑戦と成長、そして友情の物語です。単なるノンフィクションの枠を超え、多くの読者・観客の心に深く響く、感動的な作品と言えるでしょう。映画、そして続編小説と、その波及効果は広く、深く、現代社会に問いかけるメッセージ性の強い作品群となっています。

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