元城町 (浜松市)

元城町は、静岡県浜松市の中央区に位置する町です。特定の丁番を持たない単独町名であり、現在のところ住居表示は実施されていません。町の地理的な特徴として、主要な道路である大手通り沿いには近代的なオフィスビルが立ち並び、ビジネスの中心としての側面が見られます。一方、浜松城の天守閣周辺は広大な緑に覆われた公園となっており、市民の憩いの場として親しまれています。かつての浜松城址には、現在、浜松市役所などが設置されており、行政の中枢機能が置かれています。かつて町内に存在した浜松市立元城小学校は、2017年（平成29年）3月をもって閉校し、校舎はその後解体されています。

この地は、江戸時代に徳川家康によって浜松城が築かれて以来、浜松の歴史において非常に重要な役割を担ってきました。城下町として発展し、特に明治維新以降は浜松の行政及び教育の中心地として発展を遂げています。

町の沿革をたどると、明治時代に入り、1873年（明治6年）には浜松城が廃止され、その跡地は旧浜松藩の士族に対して優先的に払い下げられました。同年、大手門近くの侍屋敷跡を利用して、浜松で最初の小学校となる第一番小学校（後の浜松市立元城小学校）が開校しています。1882年（明治15年）、浜松城内にあった「城内」「年行事」「元目」といった小字が統合され、「元城」という大字が命名されました。近代的な地方自治制度への移行に伴い、1889年（明治22年）に浜松が町制を施行すると、敷知郡浜松町の一部である元城となりました。なお、敷知郡は後の1896年（明治29年）に浜名郡へ編入されています。教育機関の設立も相次ぎ、1894年（明治27年）には静岡県尋常中学校浜松分校（現在の静岡県立浜松北高等学校）、1901年（明治34年）には浜松高等女学校（現在の浜松市立高等学校）と町立浜松商業学校（現在の静岡県立浜松商業高等学校）が開校するなど、教育の拠点としての性格も強めました。1911年（明治44年）に浜松が市制に移行すると、浜松市元城町となりました。大正時代には、1914年（大正3年）に浜松軽便鉄道（後の遠州鉄道奥山線）が開通し、町内に元城駅が開業しています。しかし、1923年（大正12年）には、かつて統合された小字の一つであった「元目」が元目町として独立する一方で、松城町の一部が編入され、現在の元城町の町域がほぼ確定しました。第二次世界大戦末期の1945年（昭和20年）には、浜松大空襲により町内のほぼ全域が壊滅的な被害を受け、焼け野原となりました。戦後復興が進み、1948年（昭和23年）には浜松市立元城小学校が現在の場所に再開校しました。1952年（昭和27年）には、浜松市役所が利町から現在の元城町（浜松城の二の丸跡）へ移転し、再び行政の中心としての地位を確立しました。昭和後期には、1958年（昭和33年）に浜松市体育館が完成し、同年には市民の願いであった浜松城の天守閣も再建されています。交通面では、時代の変化に伴い、1964年（昭和39年）に遠州鉄道奥山線が廃線となり、元城駅もその役割を終えました。元城駅の跡地には、1981年（昭和56年）にホテルコンコルド浜松が開業し、町の景観を形成するランドマークの一つとなっています。近年では、2008年（平成20年）に浜松市体育館が閉鎖・解体され、その跡地は現在、浜松城公園の駐車場として利用されています。

交通アクセスとしては、町内には大手通り（国道152号の一部）が通り、主要な交通路となっています。路線バスも充実しており、遠鉄バスの複数の系統が町内の元城町、市役所前、浜松城公園入口などのバス停を経由しており、浜松駅方面や市内の各方面へのアクセスに便利です。また、中部国際空港行きの高速バス「e-wing」もホテルコンコルド浜松前に停車します。

町内には、前述の浜松市役所や浜松城公園のほか、元城町東照宮、曳馬城跡を示す石碑、徳川家康ゆかりの家康公鎧掛の松といった歴史的な名所があります。また、ホテルコンコルド浜松やリッチモンドホテル浜松などの宿泊施設も立地しています。

元城町は、浜松の代表的な祭りである浜松まつりにおいて、古くから参加している伝統のある町として知られています。凧合戦に使用する町の凧印は「日の丸の旗」です。また、祭り期間中に町内を練り歩く屋台（御殿屋台）は、浜松城を模した独特の形状をしており、その美しさから見物客に人気があります。

その他、郵便については、町内の郵便番号は430-0946であり、集配業務は浜松郵便局が行っています。警察の管轄区域についても定められています。

この町は、徳川家康公をはじめとする歴史上の人物や出来事と深く関連しています。

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