先天性内反足

先天性内反足とは

先天性内反足（せんていせいないはんそく）は、生まれたときから足の形が異常である状態を指します。具体的には、足首が内側に曲がり、足の裏が内側を向き、つま先が下を向いている状態です。この状態は、足の骨の形成異常や配列の異常によって引き起こされますが、詳しい原因はまだ解明されていません。通常、他の病気を合併していない場合に先天性内反足と診断されます。

病態と原因

先天性内反足は、足の骨の発育不全や位置異常が原因とされています。しかし、なぜそのような状態になるのか、その根本的な原因はまだはっきりとわかっていません。遺伝的な要素や胎内での環境などが関与している可能性が考えられていますが、まだ研究が進められている段階です。

疫学

先天性内反足は、比較的まれな疾患で、発生頻度は0.1%以下とされています。男の子に多く見られ、女の子の約2倍の発生率です。また、両足に症状が見られる場合と、片足だけの場合がほぼ同じ割合で存在します。

診断

先天性内反足は、出生直後に足の変形が明らかなため、比較的容易に診断できます。足の裏が内側を向いていたり、足首が硬く動きにくいなどの症状が見られます。医師は触診で足の変形の程度を評価し、重症度を判断します。近年では、レントゲンや超音波検査を用いて、足の骨の配列異常を詳しく調べることもあります。

治療

先天性内反足の治療は、早期に開始することが重要です。現在、最も一般的な治療法はポンセチ法（Ponseti法）です。この方法は、以下のステップで治療を進めます。

1. 徒手矯正とギプス固定：
- 生後間もない時期から、医師が手で足の形を正常に近づけるように矯正します。
- 矯正した状態を維持するために、太ももからつま先までギプスで固定します。
- ギプスの交換は通常1週間ごとに行い、徐々に足の変形を矯正していきます。
2. アキレス腱の切腱術：
- ギプス固定で足の内反と内転が改善した後、アキレス腱の拘縮が残っている場合は、アキレス腱の皮下切腱術を行います。これは、小さな切開でアキレス腱を一部切断する手術で、数分で終わります。
- 手術後、約3週間ギプスで固定します。
3. デニスブラウン装具：
- ギプス固定の後、デニスブラウン装具という、左右の足を外側に開いた状態で固定する装具を使用します。
- この装具は、再発を防ぐためにできるだけ長時間使用します。
- 日中は下肢の筋肉を発達させるために装具を外すか、短下肢装具を使用することもあります。
4. 経過観察:
- 歩行開始後も、足の変形の再発がないか、定期的に経過観察を行います。
- 必要に応じて、靴型装具や足底板を使用します。

その他の考慮事項

基礎疾患が原因で内反足になっている場合は、治療が難しいことがあります。治療方針は病院や医師によって異なるため、患者の状態に合わせて最適な治療法を選択する必要があります。手術や装具の変更のタイミングは、患者の成長や治療の成果によって異なります。

参考文献

• - 『標準整形外科学』 医学書院、2008年 ISBN 978-4-260-00453-4

外部リンク

• - 日本整形外科学会（症状・病気をしらべる、内反足）

関連項目

• - 足
• - 先天性

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