光増幅器
光増幅器とは
光増幅器とは、光信号を電気信号に変換することなく、直接光の状態で増幅する装置です。これは、共振器を持たないレーザー、または共振によるフィードバック抑制されたレーザーと見なすこともできます。増幅の原理は、誘導放出によって入射光を増幅することに基づいています。光増幅器は、現代の光通信システムやレーザー技術において、非常に重要な役割を果たしています。
光増幅器の種類
光増幅器には、主に以下の3つのタイプがあります。
1. レーザー増幅器
レーザー増幅器は、レーザー活性層にポンプ光を照射することで、レーザーと同じ波長の光を増幅します。このタイプの増幅器は、一般的に高出力レーザーシステムに使用されます。特に、超短パルスの増幅には、回生増幅器やチャープパルス増幅器が用いられます。
2. ドープトファイバー増幅器 (DFAs)
ドープトファイバー増幅器は、不純物を添加した光ファイバーを用いた増幅器です。光ファイバーレーザーとも関連が深く、増幅したい光信号と励起光をファイバー内に入射させ、添加されたイオンとの相互作用によって光を増幅します。代表的なものとして、エルビウムドープトファイバー増幅器（EDFA）が挙げられます。EDFAでは、石英ファイバーに3価のエルビウムイオン（Er3+）が添加されており、980nmまたは1480nmの波長の光で励起することで、1550nm帯の信号光を増幅できます。また、長尺のドープトファイバーを用いることで、1580nm帯の信号光の増幅も可能です。
3. 半導体光増幅器 (SOA)
半導体光増幅器は、増幅媒体として半導体を使用する光増幅器です。構造はファブリーペローレーザーダイオードに似ていますが、端面での反射を抑制するように設計されています。最新の設計では、反射防止膜を使用したり、導波路を斜めに配置したりすることで、端面反射を0.001%以下に抑えています。共振による損失はレーザー増幅よりも大きいです。SOAは、GaAs/AlGaAs、InP/InGaAs、InP/InGaAsP、InP/InAlGaAsなどのIII-V族半導体や、II-VI族半導体のような直接遷移型半導体で作られます。これらの増幅器は、主に光通信システムで使用され、0.85µmから1.6µmの波長範囲で最大30dBの利得を得ることができます。
光増幅器の応用
光増幅器は、その高い増幅能力と光信号を直接扱うことができる特性から、光通信、レーザー技術、光計測など、さまざまな分野で応用されています。
- - 光計測: 半導体光増幅器は、光計測の分野でも利用されており、光信号の微弱な変化を検出するのに役立っています。
まとめ
光増幅器は、光信号を電気信号に変換することなく直接増幅できる重要なデバイスであり、光通信やレーザー技術の発展に不可欠です。レーザー増幅器、ドープトファイバー増幅器、半導体光増幅器など、様々な種類があり、それぞれの特性や応用分野に応じて使い分けられています。これらの増幅器の進歩は、より高速かつ効率的な光通信システムの実現に大きく貢献しています。
関連項目
EDFA (Erbium Doped Fibre Amplifier)
回生増幅
外部リンク
発見と発明のデジタル博物館： エルビウム光ファイバ増幅器とその応用に関する先駆的研究
Encyclopedia of laser physics and technology on fibre amplifiers and Raman amplifiers
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