光学フィルター

光学フィルターとは

光学フィルターは、入射した光の中から特定の性質を持つ光だけを透過させ、それ以外の光を遮断する光学素子です。写真撮影をはじめ、様々な光学機器や照明器具において、その性能を最大限に引き出すために欠かせない存在です。例えば、カラーフィルターは、特定の色の光だけを透過させることで、写真の色味を調整するために使用されます。

光の行き先による分類

光学フィルターは、透過させない光の行き先によって、大きく「吸収型」と「反射型」に分類されます。

吸収型フィルター：特定の波長の光を吸収することで、他の波長の光を透過させます。強い光を扱う場合は、温度上昇による損傷や特性劣化に注意が必要です。
反射型フィルター：特定の波長の光を反射させることで、光を分離します。ビームスプリッターやミラーの一種として利用されることもあります。反射した光が意図しない影響を及ぼさないように注意する必要があります。

形状による分類

光学フィルターの形状は、主に「キューブ型」と「平面型」に分けられます。

キューブ型フィルター：2つの直角プリズムを貼り合わせて立方体にしたもので、通常は反射型として用いられます。接合面で光を分離します。
平面型フィルター：丸や四角の平面形状で、反射型と吸収型の両方があります。

選択する光の性質による分類

光学フィルターは、選択する光の性質によって、さらに細かく分類できます。

偏光フィルター：特定の偏光成分のみを透過させます。
波長選択フィルター：波長によって光を選択します。
ロングパスフィルター：特定の波長より長い波長の光のみを透過させます。
ショートパスフィルター：特定の波長より短い波長の光のみを透過させます。
バンドパスフィルター：特定の波長範囲の光のみを透過させます。
コールドミラー：可視光を反射し、赤外光を透過するショートパスフィルターの一種です。
ダイクロイックミラー：波長によって光を分ける反射型のフィルターです。
NDフィルター：波長によらず一定の割合で光を弱めるフィルターです。Neutral Densityの略で、波長依存性が少ないことが特徴です。

原理による分類

光学フィルターは、製造方法によっても分類できます。

色ガラスフィルター：ガラス中に光を吸収する物質を分散させ、その吸収を利用して透過光を選択します。ロングパスフィルターが多く、波長が異なるものがシリーズ化されています。
吸収型NDフィルター：波長選択性のない光吸収物質をガラス中に分散させたものです。厳密には多少の波長依存性があります。
薄膜フィルター：基板表面に金属薄膜や誘電体薄膜を成膜したものです。
金属薄膜フィルター：波長依存性が少ないため、NDフィルターやビームスプリッターとして利用されます。膜厚によって反射率を制御できます。
誘電体薄膜フィルター：多層膜で構成され、層間の反射干渉を利用して透過特性を制御します。干渉フィルターとも呼ばれます。波長選択性が高い反面、入射角依存性が大きいという弱点があります。
偏光プリズム：母体材料の複屈折を利用して偏光を分離する素子です。

波長による分類

使用される波長領域によって、可視フィルター、赤外フィルター、紫外フィルターなどに分類されることもあります。

関連項目

ビームスプリッター
レンズフィルター
薄膜光学
ダイクロイックミラー

光学フィルターは、その種類や特性によって、私たちの生活や科学技術の様々な分野で不可欠な役割を果たしています。それぞれのフィルターが持つ特性を理解し、適切に利用することで、より高度な光学制御が可能になります。

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