児浦純大

児浦 純大は、1934年に鹿児島県鹿児島市に生まれた日本の洋画家である。故郷である鹿児島県を中心に、半世紀以上にわたり精力的な創作活動を続けている。

1950年、鹿児島県立甲南高等学校に入学した児浦は、在学中、美術部に所属し、早くからその才能を発揮する。同年秋には、鹿児島県甲南高校美術部と鹿児島玉龍高等学校美術部の協力を得て、鹿児島県高校美術展を創設するという、高校生としては異例の活動を主導した。この美術展はその後も継続され、彼は2年後の第3回展において、高校生としては最高の栄誉である最高賞を受賞している。1953年に高校を卒業するまでの間、彼は美術への強い情熱を燃やしていた。

高校卒業後、美術大学への進学を希望したが、家庭の反対もあり、1953年に鹿児島大学農学部へと進学。農業化学を専攻し、1957年に同大学を卒業した。卒業後は一度化学教師として教壇に立ったが、心の底にあった芸術への夢を諦めることはできなかった。28歳を迎えた年、彼はついに画家として生きることを決意し、本格的に絵画の世界へと踏み出すことを決心する。同時に、教職に就きながら武蔵野美術短期大学の公開講座（通信教育）を受講し、美術教員の資格を取得した。

美術教員となった児浦は、鹿屋市立百引中学校、鹿児島県立串木野高等学校、鹿児島県立鹿児島南高等学校などで教鞭を執り、後進の指導にあたった。教育者として働く傍ら、画家としての活動も精力的に行う。特に、地元鹿児島県の美術界における重要な登竜門である南日本美術展において、1974年の第29回展で最高の栄誉とされる県知事賞を受賞し、画家としての地位を確立した。この受賞を契機に、翌1975年には鹿児島育英財団の支援を受け、美術の本場であるフランスへ1年間留学。海外での芸術に触れ、自身の作風を深化させる貴重な経験を積んだ。

1982年、長年務めた教職現場を離れる。その後も、鹿児島県総合教育センター研究主事、鹿児島県教育庁（教育委員会）文化課文化係長、鹿児島県工業技術センターデザイン開発室長といった公職を歴任し、地域文化やデザイン振興にも貢献した。1994年に公職を退いてからは、画家としての活動に専念する時間を増やした。

児浦純大の画家としての活動は、独立展や南日本美術展を主要な発表の場としている。これらの展覧会を通じて、彼は独創的な世界観を表現した数々の作品を発表してきた。特に知られる作品シリーズには、「棘のシリーズ」「昻のシリーズ」「アリスのシリーズ」などがあり、それぞれのシリーズで異なる主題や技法を探求している。また、長年にわたる功績から南日本美術展の委嘱作家を務めるほか、鹿児島県美術協会会員、東京独立美術協会所属として、日本の美術界において重要な役割を果たしている。その作品は、故郷鹿児島のみならず、広く美術愛好家から注目されている。

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