入札談合

入札談合について

入札談合とは、公共事業や民間事業において、競争入札を通じて発注者が特定の業者に落札させるために、複数の入札参加者が事前に合意し、入札価格を調整する行為を指します。この行為は日本の独占禁止法において「不当な取引制限」とされ、法的な規制と処罰の対象になります。

概要

入札談合は、国や地方公共団体、または民間企業が実施する様々な競争入札で行われています。主には、工事の発注があった際に、談合を行うこととし、受注予定者の選定方法を合意する「基本合意」を作成します。そして、具体的な工事の発注が入ると、この基本合意に基づいて談合が行われ、どの業者が受注するかを決定します。

受注者の選定手法には、入札参加回数の点数化に基づく点数制や、特定の順序で受注を行う輪番制などがあります。

入札談合の実態と歴史

日本における入札談合の中でも、特に建設業においては多くの事例があります。1979年に熊本県道路舗装協会事件が公正取引委員会によって審決され、以降も多くの談合事件が取り締まられることになりました。「静岡事件」など、1981年に発生したさまざまな事件は社会的な関心を引き起こしました。このような事件の背後には、談合を取り締まろうとする公正取引委員会に対して、建設業界からの政治的圧力もあったとされています。

2000年の中尾栄一元建設大臣の逮捕後、規制が強化され、2002年には官製談合防止法が成立しました。新たな法制の下、建設業界全体で談合を防止する動きが強まり、入札価格が低下する結果を招きました。

民間入札における談合

公共事業にとどまらず、民間の入札でも談合が確認されています。2025年にはマンション修繕工事の入札で入札談合の疑いがかけられました。

国外における入札談合

日本だけでなく、他国でも入札談合は見られ、各国の独占禁止法当局が規制を行っています。例えば、フランスでは学校の電気工事において入札談合が摘発されています。

事例

具体的な談合事件を見てみましょう。1981年には静岡県内の建設業者が公共工事の入札で談合を行った「静岡建設業協会事件」があります。また、1988年の横須賀米海軍基地談合事件では、登録業者10社が談合に関与しました。さらに、社会保険庁が発注したシール入札における談合や、東京都の公共下水道工事に関する多摩談合事件も記憶に新しいです。

官製談合について

入札談合の中でも、特に発注者が受注者を指名するなど、発注者側が主導する場合を「官製談合」と呼びます。これには贈収賄行為や便宜供与が関与していることもあります。過去には、新潟市の下水道工事を巡る官製談合事件や、北海道の官製談合防止法改正が話題になりました。その結果、官製談合に対する罰則も強化されています。

入札談合は、業界全体の公正な競争を損なうため、今後も引き続き厳しい目で監視していく必要があります。法規制が厳しくなる中、関係者が透明性の高い業務を行うことが求められています。

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