入江啓四郎

入江啓四郎の生涯

入江啓四郎（いりえ けいしろう、1903年4月20日 - 1978年8月13日）は、日本の国際法学者であり、ジャーナリストとしても活躍しました。鳥取県西伯郡春日村（現在の米子市）に生まれ、幼少期を上海で過ごしました。

ジャーナリストとしての出発

1919年に豊浦中学校を中退後、1921年に日本中学校を卒業。1923年には第一早稲田高等学院を卒業し、1927年3月に早稲田大学法学部を卒業しました。同年4月にはジャパンタイムズに入社し、記者としてのキャリアをスタートさせました。その後、日本新聞連合社の記者を経て、1936年1月には同盟通信社に入社。1937年には同社のパリ支局長、1939年にはジュネーブ支局長を務め、ヨーロッパの国際情勢を肌で感じ、ジャーナリストとしての見識を深めました。

戦時下の活動と研究

1943年から1944年にかけて、著書『ヴェルサイユ体制の崩壊』全3巻を上梓しました。この著作は、当時の国際政治を深く分析したもので、彼の国際法学者としての側面を示す重要な著作です。1945年には同盟通信社の編集局外信部長となり、その後、時事通信社でも編集局外信部長、時事研究所長を歴任。戦後の混乱期において、ジャーナリズムの現場で重要な役割を果たしました。

大学教授としての教育活動

1953年、入江は愛知大学法経学部教授に就任し、新聞学と国際法を担当しました。1957年には成蹊大学政治経済学部教授となり、国際法の教鞭を執りました。1962年から1963年までは同学部の学部長を務め、大学運営にも携わりました。1966年には早稲田大学法学部の客員教授に就任し、1975年の定年退職まで後進の育成に尽力しました。また、日本ジャーナリスト専門学校でも専任講師を務め、1976年には創価大学法学部教授として国際法を教えました。

受章と晩年

1976年11月3日、入江は長年の教育・研究活動が評価され、勲三等瑞宝章を受章しました。1978年、創価大学在職中に逝去。その生涯は、激動の20世紀において国際法学者、ジャーナリストとして国際社会の動向を鋭く見つめ、時代を切り開いたものでした。国際政治学者である入江昭は息子です。

主要な著書と研究テーマ

入江啓四郎は、多数の著書を通じて、国際法と国際政治に関する幅広いテーマを研究しました。

初期の中国研究: 『中国報紙研究法 支那新聞の読方』、『支那辺疆と英露の角逐』など、初期には中国に関する研究を行いました。
国際法研究: 『国際条約と日本』、『日本講和条約の研究』、『国際公法』など、国際法に関する基礎的な研究を深めました。
現代国際問題: 『現代国際問題要論』、『領土・基地』、『現代の国際法』など、現代の国際問題に関する分析を行いました。
国際紛争: 『中・印紛争と国際法』、『国際経済紛争の争訟処理』など、国際紛争に関する研究も行いました。

その他の活動

入江啓四郎は、国際法学者としてだけでなく、ジャーナリストとしても活躍しました。その経験を活かし、多くの著書や論文を発表し、国際法の発展と普及に大きく貢献しました。また、教育者として多くの学生を育成し、次世代の国際法研究者を育てました。彼の功績は、今日の国際法研究においても重要な基盤となっています。


入江啓四郎は、国際法とジャーナリズムの両面で多大な貢献をした人物であり、その業績は今日においても高く評価されています。

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