全商国

全商国（チョン・サングク）

全商国は1940年に韓国の江原道洪川郡で生まれた小説家であり、大学教授です。本貫は旌善全氏に属し、彼の作品の多くは朝鮮戦争をテーマとしています。全はこの戦争を小説として表現することによって、その悲劇的な過去を記録するだけでなく、今なお私たちの世の中に残る傷として再認識させることを目的としています。

略歴と教育背景

全は少年時代に朝鮮戦争が勃発したことが、彼の人格形成に多大な影響を及ぼしました。受けた教育の一環として春川高等学校を卒業。その後、1960年に慶熙大学校国文科に入学。大学では、著名な教授である黄順元の指導のもとで文学を学び、1963年には大学在学中に「同行」が『朝鮮日報』新春文芸で当選し、文壇デビューを果たしました。卒業後は故郷に戻り、高校教師として地元の教育に従事しましたが、1972年、趙炳華の勧めにより再度上京し、慶熙高等学校の国語教師として働くことになります。

その間、大学院に進学し修士課程を修了。1985年には助教授として慶熙大学校に採用され、2001年には教授に昇格しました。また、金裕貞文学村の村長として地域の文学活動にも関わっています。

文学活動

全商国の文学活動は、「光芒」の発表以降、長い間静まっていましたが、1974年に「前夜」を発表してから本格的な著作活動を開始しました。彼の作品には「小人の外出」「風の吹く村」「脈」「霧の目」「空の下、その場所」「冬の出口」「アベの家族」「我等の翼」といった多様なタイトルがあり、特に朝鮮戦争に関連したテーマが頻繁に登場します。

全にとって、この戦争は単なる過去の悲劇ではなく、今日においても人々に影響を及ぼす傷跡となっています。また、彼は学校教育の問題も積極的に取り上げており、1980年代に発表された「偶像の涙」「タルピョン氏の二度目の死」「燃える山」「道」などがその例です。

主要受賞歴

全はその文学活動を通じ、多数の賞を受賞しており、1977年には現代文学賞、1979年には韓国文学作家賞、1980年には大韓民国文学賞、そして東仁文学賞を受賞しています。1988年には尹東柱文学賞、1990年には金裕貞文学賞、1996年には韓国文学賞、2000年には後広文学賞を受賞。音楽や他の芸術の影響を受けた彼の作品は、多くの読者から支持を得ています。

代表作品と翻訳

全の代表的な作品には、1963年の「同行」、1975年の「おじいさんが埋められた日」、1976年の「悪動時代」、1978年の「高麗葬」などがあります。また、彼の作品のいくつかは日本語に翻訳されており、古山高麗雄『脈』や長璋吉訳の「沈黙の眼」など、日本の読者にも広く知られています。

全商国の作品は、朝鮮戦争の経験を反映しながら現代社会における人間存在の意味を問い直すものです。彼の文学が持つ深い思索は、すべての読者に強い感銘を与え続けています。

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