全国原子力発電所所在市町村協議会

全国原子力発電所所在市町村協議会（全原協）

全国原子力発電所所在市町村協議会は、日本の原子力発電施設が立地している、あるいはその近隣に位置している、または将来的な建設が計画されている市町村の首長（市町村長）と、その市町村の議会を代表する議長により組織された団体です。この団体の略称は「全原協」（ぜんげんきょう）として広く知られています。

設立と組織

本組織は1968年6月5日に設立されました。原子力発電所の建設が進み始めた時期に、施設を受け入れる側の地域が抱える様々な課題や要望を共有し、国などに対して集約した意見を伝える必要性から誕生しました。

組織の要となる会長職は、設立当初から現在に至るまで、福井県敦賀市の市長が代々務めることが慣例となっています。これは、敦賀市が日本における原子力開発の初期から重要な役割を担ってきた歴史的背景によるものと考えられます。現在の会長も敦賀市長が務めています。

団体の事務局は、会長が所属する市町村に置くことが定められており、現在は会長市である敦賀市の企画政策部原子力安全対策課内に設置されています。所在地は福井県敦賀市中央町2丁目1番1号となっています。

会員は、原子力関連施設が存在する、または関連する24の市町村の市町村長および市町村議会議長をもって正会員としています。

主な活動内容

全原協の活動は多岐にわたりますが、その中心は原子力発電所の安全性の確保、新たな施設の誘致に関する検討、そして原子力施設が立地する地域の振興策に関わる調査研究です。これらの調査研究で得られた知見や、会員である市町村が現場で直面している課題を基に、国や関係機関に対して意見陳述や要望活動、いわゆる陳情を積極的に行っています。

特に、2011年3月に発生した福島第一原子力発電所事故という未曽有の事態を受けて、全原協はその影響を深刻に受け止めました。事故発生から間もない同年4月4日には、事態の早期収束に向けた取り組みや、今後の原子力発電所の安全性向上策などについて、政府に対して緊急の要請書を提出しました。これは、立地地域の安全と安心を確保しようとする団体の強い意思を示す活動の一つです。

日頃から、原子力施設の適切な管理・運営、地域経済の活性化に資する施策の推進、そして住民の安全・安心に直結する防災対策の強化などを求め、国との間で継続的な対話を行っています。これらの活動を通じて、立地・近接市町村が原子力と共に発展していくための環境整備を目指しています。

関連する組織

原子力発電所の立地に関連する団体は他にも存在します。例えば、原子力発電関係団体協議会は、原子力発電所が所在する道県の知事によって構成される組織であり、全原協が市町村レベルの声を集約するのに対し、こちらはより広域的な視点からの提言や要望活動を行っています。また、電源地域振興センターは、電源立地地域等の振興を図るための事業を実施する団体です。さらに、全国原子力立地市町村商工団体協議会のように、地域経済を支える商工業者の立場から原子力関連地域の振興を考える団体もあります。これらの団体は、それぞれの立場から原子力施設と共存する地域の発展のために活動しており、協力関係を築くこともあります。

全原協は、原子力施設の最も身近な存在である市町村とその住民の声を代表する組織として、日本のエネルギー政策や地域振興において重要な役割を担っています。

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