全国和菓子協会

全国和菓子協会

全国和菓子協会は、日本の伝統的な菓子である和菓子を将来にわたり受け継ぎ、発展させることを目指し活動している業界団体です。1950年（昭和25年）に設立され、和菓子文化の保護と振興を使命としています。

設立とその歩み

太平洋戦争終結後の混乱がまだ続いていた1950年6月、初代会長である黒川武雄氏の提唱に共感した和菓子業者が集結し、本協会は発足しました。設立当初は「全国生菓子協会」という名称で、会員間の親睦を主な目的としていました。しかし、活動の範囲は次第に広がり、1961年（昭和36年）には協会のシンボルマークとして「和菓子マーク」を制定するなど、組織の強化に努め、活動を活発化させていきました。協会の重要な取り組みの一つに、1979年（昭和54年）に定められた「和菓子の日」（毎年6月16日）があります。この日は、古く平安時代に疫病退散と招福を願って菓子や餅を神前に供えた「嘉祥（かじょう）」という行事に由来しており、全国和菓子協会はこの日に合わせて毎年多彩な記念イベントを企画・実施し、和菓子の普及啓発に努めています。

「選・和菓子職」制度

全国和菓子協会が主催する「選・和菓子職」制度は、和菓子作りの伝統的かつ高度な製造技術を全国規模で統一的に、そして公平に評価し、優れた技術を持つ職人を認定する目的で設けられています。この制度は2007年（平成19年）に開始され、2012年（平成24年）には「伝統和菓子職部門」が新たに設けられました。現在では、「優秀和菓子職部門」と「伝統和菓子職部門」の二つの部門が存在し、それぞれ隔年で交互に実施されています。

優秀和菓子職部門

この部門では、創作的な手作り和菓子の技術力が認定されます。形を整え、効率的に製造することに重点が置かれ、製造工程や仕上がりなどが総合的に評価されます。

伝統和菓子職部門

伝統的な和菓子製造における秀でた技術力を認定する部門です。単に技術力だけでなく、「伝統和菓子職」にふさわしい人間性も重視される点が特徴です。この部門への応募には、規定の推薦者による推薦が必須となっています。

会員構成

全国和菓子協会には、全国各地の和菓子関連の業界団体や、数多くの和菓子製造業者、和菓子店が加盟しています。その構成は地域的に非常に幅広く、北は北海道から南は九州まで、多様な規模と歴史を持つ事業者が名を連ねています。これらの会員の存在が、本協会の活動を支え、日本の和菓子文化の多様性と発展に貢献しています。会員の種類は多岐にわたり、各地の和菓子協会や協同組合といった団体、そして全国の著名な老舗や地域に根ざした菓子店などが含まれます。

このように、全国和菓子協会は、和菓子の伝統を守り伝えつつ、新たな時代のニーズにも応えるべく、様々な活動を展開しています。和菓子の日を通じた文化啓発や、「選・和菓子職」制度による技術継承と職人の育成など、その取り組みは多岐にわたり、日本の食文化における和菓子の重要な位置づけを守る上で欠かせない存在となっています。

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