全国高等学校野球選手権三岐大会

全国高等学校野球選手権大会三岐大会は、日本の高校野球において、岐阜県と三重県の代表校を決めるためにかつて実施されていた地方予選です。この大会は、1948年の第30回大会から始まり、1974年の第56回大会まで、およそ四半世紀にわたって続けられました。

この大会が成立する前、1947年の第29回大会までは、岐阜県、愛知県、三重県の三県は「東海大会」として一つのブロックを形成し、この三県から甲子園に出場する代表校を選出していました。しかし、高校野球の参加校数の増加や地域ごとの代表校を増やしたいという時代の流れに伴い、愛知県が他の二県に先駆けて1県1代表制へと移行することになりました。これにより、東海大会は解体され、残された岐阜県と三重県が新たな代表決定ブロックとして「三岐大会」を創設し、両県から甲子園出場を争うことになったのです。これが1948年、三岐大会の幕開けとなります。

以降、1974年までの27年間、毎年夏になると岐阜県と三重県の高校球児たちは、三岐大会という舞台で甲子園出場を目指し、互いの力を競い合いました。この大会期間中、両県の高校野球のレベルアップが図られ、数々の名勝負やドラマが生まれました。

しかし、高校野球全体のさらなる発展と、より多くの都道府県から代表校を選出するという方針のもと、1975年の第57回大会からは、岐阜県と三重県もそれぞれ独立して代表校を選出する1県1代表制に移行することになりました。この変更に伴い、岐阜県と三重県を対象とした三岐大会はその役割を終え、1974年の大会を最後に歴史に幕を下ろしました。

三岐大会が開催された期間における両県の通算成績を見ると、岐阜県勢が15回の勝利を収め、三重県勢が8回の勝利を記録しています。これは、長い歴史の中で両県が互いに切磋琢磨し、時にしのぎを削り合った証と言えるでしょう。

本大会は消滅しましたが、時を経て、2020年には特別な交流試合が行われました。この年、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、本来開催される予定だった第102回全国高等学校野球選手権大会とそれに伴う全ての地方大会が中止となりました。その代替として、各都道府県で独自に行われた夏季大会の優勝校が、地域によっては交流試合を実施しました。岐阜県と三重県では、それぞれ開催された独自大会で優勝したいなべ総合高校（三重）と大垣日大高校（岐阜）による交流試合が企画され、過去の三岐大会を彷彿とさせる一戦が実現したのです。この試合は2020年8月17日に長良川球場で行われ、歴史上の三岐大会ではありませんでしたが、形を変えて岐阜と三重の代表校が対戦するという特別な機会となりました。

このように、全国高等学校野球選手権大会三岐大会は、約四半世紀にわたり岐阜県と三重県の高校野球の歴史を彩り、多くの球児たちの夢が交錯した重要な舞台でした。その存在は、日本の高校野球の発展過程における一つの節目を示しています。

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