全国高等学校野球選手権地方大会

全国高等学校野球選手権地方大会は、夏の甲子園として知られる全国高等学校野球選手権大会への出場校を決定する、重要な予選大会です。この大会は、単なる予選ではなく、全国大会とは独立した、それぞれが独自の歴史とドラマを持つ大会として位置づけられています。

大会概要

地方大会は、原則として各都道府県ごとに行われますが、北海道と東京ではそれぞれ南北に分かれて2大会、計49大会が開催されるのが基本です。これは、かつて複数の道府県をまとめた「地方」単位で大会が行われていた名残です。

記念大会と代表校

1958年の第40回大会から5年ごとの記念大会では、各都道府県から1校ずつ代表が選出されていました。現在では、全ての都道府県から必ず1校が全国大会に出場するようになっています。ただし、記念大会においては、北海道・東京に加えて、埼玉・千葉・神奈川・愛知・大阪・兵庫といった一部府県でも2大会が開催されます。2018年の第100回大会では、さらに福岡県を加えた8都道府県で2大会が実施されました。

大会形式

地方大会は、全国大会への予選という位置づけでありながら、「予選」という公式な呼称は使用されていません。各大会では、選手が自校で用意したユニフォームに合わせたデザインのゼッケンを着用します。ただし、愛知県のように白地に黒の番号で統一されている大会もあります。

大会日程と進行

平年では、梅雨のない北海道と、梅雨が早い沖縄県から6月には開幕します。その後、他の都道府県も段階的に大会がスタートし、7月下旬には全ての代表校が出揃います。大会は、原則として夏休み前の土日と夏休み期間を利用して行われます。

地区予選の導入

北海道、福岡県、新潟県などでは、県内を複数の地区に分け、各地区の代表校が地方大会に出場する形式が採用されています。

選手宣誓

選手宣誓は、組み合わせ抽選会でその大会回数と同じ番号を引いた学校の主将が担当するのが一般的です。ただし、参加校が少ない大会では抽選となる場合があります。東京では、春季都大会優勝校の主将が宣誓を行います。

その他

地方大会の入場曲は、大会行進曲や「栄冠は君に輝く」など、大会ごとに異なる場合があります。また、各球場の外野席は、内野席が満席になった場合にのみ開放されます。ウグイス嬢は、基本的には高校生が担当しますが、一部地域では男子生徒が務める場合もあります。優勝校には優勝旗、盾、メダル、表彰状、準優勝校には準優勝盾、メダル、表彰状が贈られます。

大会の変遷

地方大会の歴史は長く、大会の編成や形式も時代とともに変化してきました。過去には、複数の道府県を対象とした地方大会も存在しました。大会の変遷については、詳細な画像資料なども存在します。

地方大会一覧

地方大会は、日本高等学校野球連盟の都道府県順に従って開催されます。春季・秋季大会の地区区分も参考にされますが、地方大会のほうが歴史が古く、独自の編成がなされることもあります。

新型コロナウイルス感染症の影響

2020年には、新型コロナウイルス感染症の影響で、全国大会を含む全ての地方大会が中止となりました。その代替措置として、各都道府県で独自の大会が開催されました。

テレビ・ラジオ中継

地方大会は、テレビやラジオで広く中継されており、その熱戦の模様を多くの人が楽しむことができます。

NHKの中継

NHKでは、各地方大会の決勝戦を中心に中継を行っています。関東、中京、近畿地方では、総合テレビとEテレが地域を分担して放送します。北海道では、南北両大会の全道放送を行いますが、試合が重なった場合はローカル放送に切り替えます。ラジオ中継も各地で実施しています。なお、「NHKプラス」では一部大会のみ配信されています。

民放の中継

民放では、主にテレビ朝日系列局が地方大会の中継を行っています。近年では、「バーチャル高校野球」で地方大会のほぼ全試合が配信されています。テレビ朝日系列局がない地域では、他の系列局や独立局が中継を担当することがあります。

各都道府県の放送局については、詳細なリストをご参照ください。中継状況は年によって変更される場合があり、2022年大会では、スカイ・Aで一部大会の決勝戦中継が復活しました。

ラジオ中継

県域民放テレビ局がない地域では、AMラジオ局が中継を行うことがあります。また、一部地域ではFMラジオ局が中継を担当することもあります。かつては文化放送が東京、神奈川、千葉、埼玉の決勝を中継していました。沖縄県では、2つのAMラジオ局が並行して決勝戦を中継しています。

ケーブルテレビ中継

一部のケーブルテレビ局では、地域密着型のコンテンツとして、都道府県大会の中継を実施しています。地元の民放アナウンサーが実況を務めることもあります。山梨県、富山県、高知県では、1回戦から決勝戦まで生中継を実施しています。

インターネット中継

インターネット中継は、「バーチャル高校野球」を中心に配信されています。2017年からは決勝戦が全て配信されるようになり、一部地域では1回戦からの全試合が配信されています。タイムシフト動画も提供されています。

地方大会は、高校野球ファンにとって夏の風物詩です。各地域で繰り広げられる熱戦は、多くの人々に感動と興奮を与えます。この詳細な解説が、地方大会をより深く理解し、楽しむ一助となれば幸いです。

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