全国高等学校野球選手権新潟大会

全国高等学校野球選手権新潟大会の概要と歴史

全国高等学校野球選手権新潟大会は、毎年夏に開催される全国高等学校野球選手権大会、通称「夏の甲子園」の出場校を決める新潟県予選として実施されています。

新潟県勢は、選手権大会の黎明期にあたる1916年（第2回大会）から既に大会に参加していました。しかし、長らくの間、単独で全国大会への出場権を争うのではなく、他県と合同で予選を実施する形式が続いていました。具体的には、北陸大会、甲信越大会、信越大会、北越大会といった枠組みの中で、新潟県の代表校は他県の強豪校と対戦し、全国大会を目指したのです。この合同予選方式は、地方大会が中止となった1941年（第27回大会）や、記念大会で各県に単独代表枠が与えられた1958年（第40回）、1963年（第45回）、1968年（第50回）を除き、1972年（第54回大会）まで続けられました。大きな転換期となったのは、記念大会であった1973年（第55回大会）を経て、翌1974年（第56回大会）からです。この大会から、新潟県は正式に全国高等学校野球選手権大会における単独代表県となり、県独自の予選大会が開催されるようになりました。これは、県内の高校野球にとって歴史的な一歩であり、以降、毎年単独で甲子園出場校を選出しています。

大会の開催方式と地区制の変遷

新潟大会の開催方式には、県内の地理的な広さや学校数のバランスを考慮した工夫が見られます。かつて県高校野球連盟は、2010年まで県内を「新潟」「下越」「中越」「上越」の4つの地区に分けて公式戦を編成していました。しかし、この4地区制は長年にわたり加盟校数や部員数に偏りがあり、さらに高速交通網の発達、少子化、市町村合併、そして公立高校普通科の学区制廃止といった社会的な変化に伴い、実際の通学区域や地域の実情と地区分けの間にずれが生じてきました。こうした状況から、地区割りの見直しを求める声が高まり、県高野連は2009年頃から検討を重ねました。

その結果、2010年12月の評議員会で新たな2地区制が承認され、2011年から適用されました。新しい地区制では、新潟市と加茂市より北の地域および佐渡市全域を「北支部」、三条市と燕市より南の地域を「南支部」としました。この変更により、北支部と南支部それぞれに加盟校が48校ずつ配置され、ほぼ均衡が図られました。これに合わせて、大会で使用される球場数も、従来の4地区制での計8球場（各地区2球場）から、両支部で計6球場（各支部3球場）に削減され、移動にかかる負担や大会運営の経費軽減が図られています。

夏季の新潟大会では、原則として大会序盤の1回戦と2回戦は、この新しい2地区制に基づいた「地区予選」形式で組まれ、同じ支部の学校同士が対戦します。ただし、概ね3年に一度のサイクルで、あるいは記念大会においては、「全県一区制」として日程が編成され、1回戦から異なる支部の学校同士が対戦する形式も採用されています。

使用される球場

新潟大会の試合は、県内各地の複数の野球場で行われます。大会の開閉会式や、準決勝以降（または準々決勝以降）といった重要な試合が行われるメイン球場は、時代によって変遷しています。1960年代前半頃までは新潟市営白山野球場がその役割を担い、その後1960年代後半から2007年までは、鳥屋野運動公園野球場と長岡市悠久山野球場が隔年で交互にメイン球場として使用されました。この間にも、1987年に柏崎市佐藤池野球場、2008年には三条市民球場がメイン球場として使用された例があります。

2009年からは、同年竣工した新潟県立鳥屋野潟公園野球場、通称「HARD OFF ECOスタジアム新潟」が新たなメイン球場となりました。このスタジアムでは、開閉会式や準々決勝以降の試合が開催されることが多く、人工芝フィールドが特徴です。エコスタでの開催にあたっては、いくつかの課題と対応が見られました。特に2009年の大会では、準決勝開催日に隣接するスタジアムでの大規模イベントと重なり、駐車場の確保や周辺の交通渋滞が大きな問題となりました。また、人工芝フィールドであるため、慣れない学校が出場する可能性を考慮し、試合前日に公式練習日を設けるなどの配慮が行われています。

2000年以降に主な使用球場として挙げられるのは以下の球場です（旧地区区分に基づきますが、現在は2地区制で開催されています）。

北地区（新潟地区）
新潟県立鳥屋野潟公園野球場（HARD OFF ECOスタジアム新潟）
鳥屋野運動公園野球場
新潟市小針野球場
みどりと森の運動公園野球場

北地区（下越地区）
村上市神林球場
新発田市五十公野公園野球場
阿賀野市水原野球場
五泉市営野球場

南地区（中越地区）
三条市民球場（三条パール金属スタジアム）
見附運動公園野球場
長岡市悠久山野球場
十日町市営笹山野球場
大原運動公園野球場（ベーマガSTADIUM）

南地区（上越地区）
柏崎市佐藤池野球場
上越市高田公園野球場
糸魚川市美山野球場

特筆すべき点として、三条市民球場（三条パール金属スタジアム）は、現在の2地区制において、特に地区を限定せず北支部・南支部の双方の公式戦で使用されることがあります。

大会の放送体制

夏の新潟大会は、県民の注目度が高く、複数の放送機関によって中継・配信が行われています。テレビ中継は、主に新潟テレビ21（UX）とNHK新潟放送局が担当しています。

新潟テレビ21は1984年から大会中継を続けており、現在は主に開会式、開幕戦、そして準決勝以降の試合を中継しています。かつてはより広い範囲の試合を中継していましたが、時期によって中継対象試合が変動しています。UXが開局する以前は、新潟総合テレビ（NST）が民放としてのテレビ中継を行っていました。

NHK新潟放送局は、テレビでは決勝戦を（総合または教育テレビ）、ラジオでは準決勝以降（過去には準々決勝以降）の試合を中継しています。また、新潟放送（BSN）のラジオでも、決勝戦が実況中継される場合があります。

近年では、インターネットでの配信も充実しています。2017年からは、朝日新聞社と朝日放送テレビが共同で運営する「バーチャル高校野球」で、新潟テレビ21制作の準々決勝以降の試合が配信されるようになりました。さらに2021年からは、県内の各ケーブルテレビ局が制作する中継も加わり、新潟県大会の全試合がバーチャル高校野球で配信される体制が整っています。この他にも、地域によってはケーブルテレビがエリア内の学校の試合を録画中継したり、コミュニティFM局が特定の球場や出場校の試合を中継したりする例も見られます。

夏の甲子園出場をかけたこの大会は、多くの県民や高校野球ファンに注目され、様々な媒体を通じて熱戦の模様が届けられています。

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