全日本スキー技術選手権大会

全日本スキー技術選手権大会とは

全日本スキー技術選手権大会（略称：技術選）は、公益財団法人全日本スキー連盟（SAJ）が運営する、スキーヤーの総合的な滑走技術を競う全国規模の大会です。アルペンスキーのようなタイム競争や、フリースタイル競技のような技の難易度評価とは異なり、設定された斜面や雪面状況に対し、いかに合理的かつ質の高いターンを描けるか、スキー板の性能を最大限に引き出せるかといった「技術」や「巧みさ」に焦点が当てられます。

参加資格と選考

大会への参加資格は、SAJスキー技能テスト1級以上の取得者に限られ、各都道府県で開催される予選会を勝ち抜いた選手が出場権を得ます。前年度大会の上位選手は、予選が免除されるシード権が与えられます。

競技の特徴と評価

技術選の大きな特徴は、ゲレンデのあらゆる状況を競技フィールドとすることです。整地された中斜面や急斜面に加え、うねりを含む複合斜面、難易度の高いコブ斜面など、多様なバーンが舞台となります。また、アイスバーンのような硬い雪面から、不整地まで、一般スキーヤーが日常的に遭遇する様々な雪面コンディション下での滑走能力が問われます。

競技では、定められた種目に対し、滑走委員（イグザミナー）が選手の技術を多角的に評価します。評価基準には、ターン弧の正確さ、スキー操作の質、体の使い方、斜面や雪質への適応力などが含まれます。タイム自体は評価対象ではありませんが、質の高いターンは必然的にスピードを伴うため、多くの種目で高い滑走速度が求められます。特に難度の高い斜面設定においては、高度な技術に加え、恐怖心に打ち勝つ精神力も重要となります。

採点方法は、5名のイグザミナーがそれぞれ100点満点中の20%を担当し、その合計点（5審5採用制）で競います。斜面状況や雪質に最適な、より速い次元での合理的で洗練された滑りが高得点につながります。最終的に、全種目の合計点が高い選手が優勝者となります。

競技種目

主な競技種目は、大回り、小回り、フリーの3つがあり、これらが急斜面、総合斜面、不整地といった異なる斜面タイプと組み合わされて実施されます。

大会形式

大会本戦は通常、複数日にわたって開催され、予選、準決勝、決勝、そして最終日の決勝スーパーファイナルへと進みます（開催回によって形式が異なる場合があります）。多くの選手が参加する中、厳しい選考を経て、決勝に残ることができるのは限られた上位選手のみです。

大会の位置づけとメディア

技術選は、SAJの教育本部が主催する大会であり、アルペンやノルディックなどの競技本部が統括する競技スキーとは異なる位置づけにあります。これは、一般スキーヤーへの普及・指導に重きを置く教育部門が、その理想とするスキー技術の最高峰を示す場として位置づけているためです。

大会の模様は、過去にはテレビ放送されたこともあり、DVDや教本に収録されるなど、広くスキーヤーに技術目標を示すものとなっています。

歴史

技術選は1964年に始まり、以来原則として年1回開催されています。初期には「全日本デモンストレーター選考会」や「全日本基礎スキー選手権大会」といった名称で開催されていました。

1990年代には一時的に外国人選手の参加が認められ、上位を占めた時期もありましたが、その後は規則が変更され、現在は都道府県予選レベルの大会で「オープン参加」として滑走できるケースはあるものの、本戦への参加は認められていないことが多いです。2020年の第57回大会は、国際大会としての開催も計画されていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により中止となりました。

もう一度検索