全日本建設運輸連帯労働組合

全日本建設運輸連帯労働組合（全日建）

全日本建設運輸連帯労働組合（ぜんにほんけんせつうんゆれんたいろうどうくみあい）、略称全日建（ぜんにっけん）は、建設業や運輸業に従事する労働者を主な対象とした、日本の労働組合です。この組合は、全日本交通運輸産業労働組合協議会（交運労協）や国際運輸労連（ITF）にも加盟しています。

概要

全日建は、建設業の労働者を中心に構成されているものの、さまざまな職種や雇用形態の労働者も加盟することができる合同労働組合です。正式名称は「全日本建設運輸連帯労働組合」で、通称として連帯ユニオンが広く使われています。組織内の活動においては、この連帯ユニオンの名が多く用いられています。また、全日建は、平和フォーラムや原水禁といった団体にも参加しており、その活動の幅広さがうかがえます。組織の顧問である戸田久和は、全日建を「日本最強の階級的左翼労組」と称しています。

歴史

全日建の起源は、1965年に関西地区で結成された生コンクリート産業の労働組合に遡ります。この組合は、元々全日本運輸一般労働組合に属していましたが、闘争方法に関して意見が対立し、1984年に日本共産党から分かれ全日本建設産業労働組合と統合する形で全日建が結成されました。その後、従来の労働組合戦線の再編成に伴い、日本労働組合総連合会には合流せず、自ら独立した労働組合としての立場を堅持しています。

連帯労働組合関西地区生コン支部

連帯労働組合関西地区生コン支部は、全日建の近畿地方本部の傘下にあり、1965年に設立されました。この支部は生コンクリート関連の労働者が加盟する産別労働組合として活動しています。日本の労働組合は企業内組合が主流ですが、産業別労働組合という形態は比較的少数です。この支部では中小の生コンクリート業者が集まり、共同で受注や販売を行うことで、ゼネコンとの適正価格での取引を目指しています。

生コン業界では、大手ゼネコンからの安価な取引が常態化しており、この影響で生コン製造を行う中小企業の労働者が厳しい賃金や劣悪な労働環境にさらされてきました。関西生コン支部は、業界内で競争力を高めるため、協同組合の設立を促進し、労働者たちの権利を守る活動を続けてきました。

2017年には、生コンの運賃値上げを求め無期限ストライキを実施したことが記憶に新しいです。このストライキは短期間で収束しましたが、一方で、大阪広域生コン協同組合は、この出来事を巡り激しい抵抗を行い、組合員に対して「関生支部を業界から一掃する」との攻撃を行いました。これによって「関西生コン事件」と呼ばれる一連の捜査や逮捕が引き起こされ、一部の組合員が拘束される事態となりました。

政治活動と他の運動への参加

全日建は、労働運動にとどまらず、沖縄や三里塚といった地域での抗議活動にも参加してきました。例えば、2017年には沖縄における基地問題への抗議活動や、他の労組との連携によるデモも行われています。これらの活動は、組合の政治的立場や社会的正義の観点を反映しています。

また、労働組合としての活動だけでなく、韓国の建設労組と友好関係を築いており、国際的な連帯を強める努力も行っています。これにより、アジア地域における労働者の権利保護に寄与しています。

最近の動向

近年においては、全日建に対する捜査や逮捕が相次ぎ、その背景には経済的な利益をめぐるさまざまな圧力が存在しています。特に、2018年に発生した恐喝未遂事件や業務妨害容疑に関連する逮捕劇は、大きくメディアに取り上げられました。これに関連する裁判では、組織のリーダーや多数の組合員が有罪判決を受けるなど、厳しい状況が続いています。しかし、全日建は、労働者たちの権利を守るために今後も抵抗していく姿勢を示し続けるだろうと考えられます。

全日建の活動は、単なる労働組合の枠を超え、社会全体の公正なシステムの構築を訴える重要な役割を果たしています。

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