全盲の僕が弁護士になった理由

書籍『全盲の僕が弁護士になった理由』

『全盲の僕が弁護士になった理由』は、大胡田誠による感動的なノンフィクションです。著者は、生後半年で先天性緑内障が判明し、12歳の時に全盲となりました。その後、彼は5度目の司法試験に合格し、日本で3人目の全盲弁護士としての道を歩み始めます。本書では、著者の人生の旅路や、日常生活における工夫、弁護士としての活動が詳細に描かれており、読者に勇気や希望を与える内容となっています。

序章 ある受刑者からの手紙

物語は、著者が国選弁護人として担当した一人の受刑者からの手紙から始まります。受刑者のSは、脳梗塞によって手足が麻痺し、万引きをしてしまいました。心を閉ざしていた彼と接見を重ねるうち、著者は自分の持つ痛みが他者の苦しみに共鳴することに気づきます。全盲である自分には、他者の悩みに寄り添う特別な視点があると感じるようになりました。

第1章 全盲弁護士の仕事術

著者は2007年に法律事務所に入所し、専属アシスタントとともに活動を開始します。手紙や事務書類の代筆、面談においても大いにサポートを受けながら、彼は自らの道具を活用して弁護士としての職務を全うします。高額な設備や道具の購入を補助してもらいつつ、著者は失敗や挫折を乗り越え、さまざまな依頼に取り組む姿勢を示しています。

第2章 光を失って

著者の生い立ちは、視覚を奪われた苦悩と挑戦に満ちたものでした。先天性緑内障による視力の低下から始まり、小学校6年生で完全に失明しましたが、その後も登山などのアクティビティを続け、筑波大学附属盲学校に進学しました。中学生の頃には全盲の弁護士になるという夢を抱き、将来への希望を見出します。最終的には慶應義塾大学法学部に入学し、苦労を重ねながらも司法試験への道を開いていきます。

第3章 司法試験への挑戦

司法試験は著者にとって非常に厳しい試練でした。勉強過程では予備校を見つけることさえ難航し、支援を受けながら挑戦しましたが、初回受験は失敗。それでも諦めず、ロースクールに進学することになり、断固たる努力を続けた結果、ついに新司法試験に合格します。

第4章 家族の絆

著者の妻もまた全盲であり、彼女との出会いが著者の人生にどれほどの光をもたらしたことでしょう。結婚するまでに多くの悲しみや試練を共に乗り越え、2010年、彼らは愛の絆を結びました。子どもが誕生するまでの間に築かれた家族の関係は、彼に力強さを与えます。

終章 見えない壁を打ち破る

本書は、著者自身の障害についての認識を通して、社会の中での障害者の現状や、その改善に向けた希望を語ります。彼の経験は、障害者が直面する壁を打ち破る力強いメッセージを伝えており、視覚障害者への理解と支援の重要性を訴えています。

テレビドラマ化

この著作を原作としたテレビドラマが、2014年12月に放送されました。主演の松坂桃李が全盲の弁護士を演じ、作品の感動的なメッセージを多くの人々に届けました。彼が演じた大河内健介の姿は、作品を通じて人々に感動を呼びかけ、著者の生き様は視聴者に希望を与えました。

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