全米経済研究所

全米経済研究所（NBER）について

全米経済研究所（National Bureau of Economic Research、略称NBER）は、1920年に設立された非営利の独立した研究機関です。この組織は無党派的な立場で活動しており、経済学における実証分析を特に重視し、アメリカ経済の研究に特化しています。NBERの本拠地はマサチューセッツ州ケンブリッジにあり、カリフォルニア州パロアルトやニューヨーク市にも支社を持っています。

全米経済研究所は、アメリカにおいて最も影響力のある経済学の研究機関とされており、米国のノーベル経済学賞受賞者のうち35名のうち20名がこの研究所に関与しています。また、過去には米国大統領の経済諮問委員会の委員長を務めた12名のうち、NBERの関係者が含まれており、特に元所長のマーティン・フェルドシュタイン氏は広く知られています。

NBERには、全米の大学で教鞭を執る約1000人以上の教授が研究員として所属しており、各分野の権威ある研究者が集まっています。現在の所長は、マサチューセッツ工科大学の教授であるジェームズ・ポターバ（James Poterba）氏です。NBERは、景気の動向を把握し判定する権威ある機関としても知られており、米国経済の景気循環を研究し、重要な経済指標を提供しています。

例えば、2010年9月には、NBERは2009年6月に米経済がリセッション（景気後退）を脱したとの判断を行いました。この判断は経済学界だけでなく、広く一般にも影響を与え、経済政策の策定に寄与しています。また、NBERは第二次世界大戦後の景気の基準日を示す情報も提供しており、特に「谷」と「山」という用語を用いて景気のサイクルを記録しています。

以下は、NBERが定めた戦後の景気基準日付の一部です。

• - （谷）1945年10月 （山）1948年11月 （谷）1949年10月
• - （谷）1949年10月 （山）1953年7月 （谷）1954年5月
• - （谷）1954年5月 （山）1957年8月 （谷）1958年4月
• - （谷）1958年4月 （山）1960年4月 （谷）1961年2月
• - （谷）1961年2月 （山）1969年12月 （谷）1970年11月
• - （谷）1970年11月 （山）1973年11月 （谷）1975年3月
• - （谷）1975年3月 （山）1980年1月 （谷）1980年7月
• - （谷）1980年7月 （山）1981年7月 （谷）1982年11月
• - （谷）1982年11月 （山）1990年7月 （谷）1991年3月
• - （谷）1991年3月 （山）2001年3月 （谷）2001年11月
• - （谷）2001年11月 （山）2007年12月 （谷）2009年6月
• - （谷）2009年6月 （山）2020年2月 （谷）2020年4月

NBERの公式サイトでは、さらなる情報や最新の研究結果を確認することができます。経済学の進展に寄与し続けるこの研究所は、アメリカ経済の変遷を追ううえで欠かせない存在となっています。

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