全米黒人地位向上協会 (NAACP) の歴史と影響
全米
黒人地位向上協会(NAACP)は、
アメリカ合衆国の公民権運動の象徴的存在で、アフリカ系アメリカ人の権利向上を目指しています。
1909年2月12日、
エイブラハム・リンカーン生誕100周年を祝して設立され、本部は
メリーランド州ボルチモアに置かれています。この団体は、アメリカで最も古い公民権運動の組織の一つであり、設立当初から人種差別に立ち向かうための活動を続けています。
設立と初期の活動
NAACPの設立は、1908年の
イリノイ州スプリングフィールドでの人種暴動を受けて、
黒人たちの権利について真剣に議論する必要があるとの認識から生まれました。当初の創立メンバーには社会学者W・E・B・デュボイスやジャーナリストのアイダ・B・ウェルズが名を連ね、彼らは組織の基盤を築くうえで不可欠な存在でした。NAACPはその後、米国全土に支部を展開し、地域事務所を
カリフォルニア州、
ニューヨーク州、
ミシガン州などに設けることで、州議会への影響力を強めました。
重要な歴史的瞬間
NAACPは1910年に全国
黒人向上協会として正式に発足し、初代会長にはモアフィールド・ストーリが就任しました。その後、活動を通じて会員数は急増し、
1914年には全米で50支部を持ち、6,000人以上の会員を擁するまでに成長しました。デュボイスは協会の刊行物『クライシス』の編集を担当し、活動の広がりを後押ししました。
さらに、
1919年の
パリ講和会議では、日本が提案した「人種平等の原則」を支持し、アメリカの
黒人たちは大きな期待を寄せていましたが、その提案が却下されたことで、アメリカ国内でも激しい暴動が発生しました。この時、NAACPは
黒人と有色人種の公民権を擁護するという使命を新たにしました。
合同運動と相互援助
この組織は、公民権運動の一環として、人種差別や不平等に立ち向かう活動を展開し、様々な社会問題に取り組んできました。特に大戦中、米国の市民権を持つ日系人が強制収容された際、
黒人運動家たちはこれに強い懸念を示し、人種差別を糾弾しました。NAACPは「われわれは人種や肌の色によって差別され、アメリカ人としての当然の権利を侵害されることには断固として反対していかねばならない」との決議を発表しました。
現代における影響
現代においても、NAACPは
黒人コミュニティの権利を守るための重要な役割を果たしています。例えば、
2004年、当時のジョージ・W・ブッシュ大統領が同団体の大会参加をキャンセルする事態がありましたが、その後、ブッシュは次年度の総会には姿を現し、組織が持つ影響力の重要性を再認識されることになりました。
NAACPは長い歴史を通じて、アメリカでの人権獲得や平等のために闘ってきた重要な団体であり、その影響は今なお続いています。なお、団体の様々な活動を通じて、若い世代への教育も重視されています。現在、NAACPはその運営と活動のすべてにおいて、コミュニティの未来を持続可能にするための取り組みを続けています。