八丁座

広島八丁座：伝統と革新が織りなすミニシアター体験

広島市中区胡町、福屋八丁堀本店8階に位置するミニシアター「八丁座」は、2つのスクリーン「八丁座壱」と「八丁座弐」からなる、映画ファンにとって特別な空間です。かつてこの地には、1916年開館の老舗映画館「日本館」（のち東洋座）があり、100年近くにわたり広島の映画文化を支えてきました。その歴史を受け継ぎ、2010年、映画興行会社「序破急」によって八丁座は誕生しました。

伝統とモダンが融合する空間

八丁座のインテリアは、江戸時代の芝居小屋を彷彿とさせる和風デザインが特徴です。紅葉を基調とした広島の風景や、両国国技館の桝席を思わせる座席配置など、細部までこだわった設計となっています。広島出身の映画美術監督、部谷京子氏のセンスが光る、落ち着いた雰囲気の中で映画鑑賞を楽しめます。

ロビーには、東映京都撮影所から譲り受けたふすま絵や行燈が飾られ、劇場入口にも同撮影所の美術作品が使用されています。カフェも併設されており、有機栽培コーヒーやアルコール類、軽食なども提供。場内への持ち込みも可能です。ゆったりとした特注シート（幅80cm、奥行87cm）に加え、バーカウンター席や畳席も用意されており、様々な好みに対応しています。

映画図書館：かけがえのない映画資料の宝庫（2016年閉館）

八丁座は、2013年から2016年まで、福屋10階に「八丁座映画図書館」を併設していました。映画評論家、花本マサミ氏の遺族からの寄贈や、序破急社長の蔵本順子氏が長年収集したポスターなど、約10,000点もの貴重な映画資料を所蔵。書籍、パンフレット、ポスター、さらには1950年代に製造された映写機まで、映画愛に溢れるコレクションが展示されていました。

高倉健さんの追悼企画や、「マリリン・モンロー展」、スター・ウォーズ関連の展示など、様々な企画展も開催され、多くの来場者を集めました。残念ながら、福屋の改装により2016年に閉館しましたが、その存在は多くの映画ファンに記憶されています。

ミニシアターとしての役割

八丁座壱は170席、八丁座弐は70席と、大規模なシネマコンプレックスとは異なる規模感です。しかし、その分、作品選びにもこだわりが見られ、話題作から名作、インディペンデント作品まで幅広いラインナップを上映。開館当初から高い人気を誇り、全国の上映ランキングでも上位にランクインするなど、その存在感は抜群です。

八丁座は、単なる映画館を超えた、広島の映画文化を彩る重要な拠点となっています。歴史と現代が融合した独特の空間、充実したサービス、そして厳選された作品の数々。八丁座は、広島を訪れた際にはぜひ足を運びたい場所です。

もう一度検索