八代日記

八代日記は、文明16年（1484年）から永禄9年（1566年）5月までの約80年間にわたる球磨相良氏の動向を、日記形式で記述したものです。この史料は、当時の社会情勢や文化、人々の生活を知る上で非常に重要な資料とされています。

成立年代や著者については、現在も特定されていません。しかし、史学者の勝俣鎮夫は、日記の内容が家臣としての個人的な視点から書かれている点や、的場内蔵助宛ての書状が記されている点などから、的場内蔵助自身が著者である可能性を指摘しています。

史料編纂所が底本とした写本は、『八代日記 乾』と『八代日記 坤』の二冊に分かれており、いくつかの問題点も指摘されています。例えば、元号や干支の誤り、永禄2年（1559年）に起こった「獺野原の戦い」に関する記事が欠落しているなどが挙げられます。また、この写本の異本も存在することが確認されています。

原本は長らく所在不明となっていましたが、2005年に慶応義塾大学で発見され、原題が『当家日記』であることが判明しました。この発見により、八代日記の研究は新たな段階に入ることが期待されています。

八代日記は、球磨相良氏の歴史だけでなく、当時の社会や文化を研究する上で欠かせない史料であり、今後の研究の進展が期待されています。

参考文献

• - 『八代日記』（1980年　青潮社）
• - 『人吉歴史研究』第9号 （2006年 人吉市教育委員会）

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