八巻俊雄

八巻俊雄：広告研究のパイオニア、その生涯と業績

八巻俊雄氏（1932年-2018年）は、日本の広告研究において卓越した功績を残した人物です。東京大学法学部卒業後、日本経済新聞社で企画調査部長、日経広告研究所専務理事などを歴任。その豊富な経験と深い知見を活かし、1987年には東京経済大学経営学部教授に就任、のちにコミュニケーション学部へ異動しました。2004年に同大学を定年退職、名誉教授となりました。

八巻氏の専門は広告学、特に広告戦略と効果測定です。長年にわたり、広告業界の第一線で活躍しながら、教育・研究にも尽力しました。日本広報学会理事やCM総合研究所顧問なども務め、広告業界の発展に貢献しています。

多岐にわたる著作活動

八巻氏の最も大きな功績の一つは、その膨大な著作活動にあります。学術書から実務書まで、多様なジャンルの書籍を執筆・翻訳・編集し、広告学の発展に貢献しました。

彼の著書は、広告戦略の基礎から実践的な手法、そして国際的な視点にまで及んでいます。代表的な著書として、『広告小辞典』『広告のゆくえ 共感する広告の創造』『目標による広告キャンペーン』『八巻俊雄著作集』シリーズなどがあります。

『八巻俊雄著作集』は、企業イメージ戦略、実戦広告戦略、広告国際比較といった広告の多様な側面を網羅した3巻構成の大作です。また、『やさしい広告学入門』は、広告学の基礎を分かりやすく解説した入門書として高い評価を得ています。さらに、『日本広告史 経済・表現・世相で見る広告変遷』は、日本の広告の歴史を経済、表現、世相の視点から深く掘り下げた労作です。

これ以外にも、『広告とメディア産業』『実践的「広告戦略」のすべて』『比較・世界のテレビCM』『国際ブランドに押し上げる広告戦略』など、数多くの著作を発表。日本の広告業界の変遷を的確に捉え、未来への展望を示す内容となっています。

翻訳活動を通じた国際的な視点

八巻氏は、海外の広告に関する書籍の翻訳にも積極的に取り組んでいました。ロベール・ゲランの『まちがいだらけの広告』『広告作戦異状あり』、R.H.コーレイ編『目標による広告管理』など、海外の広告理論や実践を紹介することで、日本の広告業界に国際的な視点を取り入れることに貢献しました。

共著・編著を通じた知識の共有

八巻氏は、多くの研究者・実務家と共同で、広告に関する様々な書籍を編著・共著として発表しました。『広告は変わる』『産業広告戦略』『広告のシステム・アプローチ』『広告用語辞典』など、多様なテーマを扱った書籍は、広告業界全体の知識向上に寄与しました。

まとめ

八巻俊雄氏は、広告研究者、教育者、そして著者として、日本の広告業界に計り知れない貢献を果たしました。その多岐にわたる著作活動は、後世の広告研究者や実務家にとって、貴重な財産となっています。彼の業績は、広告学の進歩と発展に大きな影響を与え続け、未来の広告研究の指針となるでしょう。

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