八潮市交差点道路陥没事故

八潮市交差点道路陥没事故の詳細

2025年1月28日、埼玉県八潮市の中央一丁目交差点で、道路が大規模に陥没する事故が発生しました。この事故では、2トントラックが深さ約10メートルの穴に転落し、運転手の救助活動が困難を極める事態となりました。

事故発生の経緯

1月28日午前9時50分頃: 県道松戸草加線と潮止通りが交わる中央一丁目交差点で、直径約5メートル、深さ約10メートルの道路陥没が発生。1台のトラックが転落しました。
同日: 埼玉県は周辺道路に交通規制を敷きました。
20時30分頃: トラック運転手の救出のためワイヤーをかけましたが、トラックの荷台と運転席の間で断裂し、救出作業は難航しました。
1月29日午前1時頃: クレーン車でトラックの荷台を後方から引き上げる作業中に、交差点北側の地面が陥没し、近隣の飲食店の看板や電柱が巻き込まれる事態に。引き上げ作業は一時中断となりました。
2時過ぎ: ガス漏れの危険性が高まったため、陥没地点から半径200メートル以内の約200世帯に避難勧告が発令されました。また、草加市、八潮市、越谷市など周辺9市3町では下水道の使用制限が設けられ、洗濯や風呂の自粛が呼びかけられました。
2時30分頃: 一時中断されていた救助活動が再開されました。
29日: 草加八潮消防局は、救助活動の長期化と二次災害の危険性から、さいたま市消防局と東京消防庁に応援を要請。さいたま市消防局の特別高度救助隊が派遣され、東京消防庁と合同で救助活動を実施。ドローンによる穴の内部調査も開始されました。
同日: 政府は全国の下水道管理者に対し緊急点検を要請。国土交通省は埼玉県に技術支援を行うと発表しました。
23時20分: 埼玉県は陥没現場への下水流入を減らすため、春日部市のポンプ場から新方川へ塩素消毒後の緊急放流を開始しました。新方川は中川に合流しますが、中川からの取水による浄水場はないため、飲み水への影響はないとされています。
1月30日午前2時37分頃: 既存の2つの穴の間で路面が崩落し、穴は直径20メートルを超える巨大なものに。これにより、目視で確認できていた運転手の安否確認が困難になりました。
30日午後: 重機を投入するためのスロープを整備するため、近隣飲食店の駐車場舗装を剥がす作業を開始。完成には数日を要すると見込まれています。

陥没の原因

1回目の陥没は、交差点地下10メートルにある下水道管が、下水から発生した硫化水素が空気に触れて硫酸に変化し、管を腐食させたことが原因とされています。その結果、管が破損して水漏れが発生し、空洞が形成されたと考えられています。

2回目の陥没は、下水道管からの水漏れによって土砂が流出し空洞ができたことに加え、転落したトラックの引き上げ作業中にバランスが崩れたことが複合的な要因として指摘されています。

事故による影響

破損した下水道管に土砂が流れ込んだため、下水道管が接続されている三郷市の下水処理場では、流入する下水量が減少しました。
NTT東日本は、地中ケーブルの断線により、インターネット回線約1300回線、固定電話回線約300回線が利用できない状態であると発表しました。

類似事故

2016年、福岡県博多駅前で発生した道路陥没事故も、本件と同様の地盤の空洞化が原因とされています。

今後の対応

埼玉県は、国土交通省の技術支援を受けながら、早期の復旧と原因究明を進めています。また、下水道管の緊急点検と安全対策の強化が急務となっています。今回の事故は、都市部におけるインフラの老朽化と、それに伴うリスクを改めて浮き彫りにする出来事となりました。

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