八甲田山 (映画)

映画『八甲田山』

『八甲田山』（はっこうださん）は、新田次郎の小説『八甲田山死の彷徨』を基にした1977年公開の日本映画です。本作は、過酷な雪山での遭難事件に焦点を当てており、主演には高倉健と北大路欣也が名を連ねています。監督は森谷司郎、音楽を芥川也寸志が担当し、翌年の日本アカデミー賞では音楽賞を受賞しました。

概要

映画『八甲田山』は、1902年に青森で起きた実際の事件、八甲田雪中行軍遭難事件を題材にしています。この事件では、参加した210人の兵士のうち、199人が命を落としました。極限状態における組織のあり方や人間の本質を問いかける本作は、公開当時から大きな反響を呼び、配給収入は25億円を超え、1977年の日本映画では1位を記録しました。

あらすじ

物語は1901年、弘前の第四旅団本部で始まります。旅団長の友田少将と参謀長の中林大佐が集まり、迫る日露戦争のために青森歩兵第五連隊と弘前歩兵第三十一連隊の雪中行軍演習計画を話し合います。寒地装備が不足している日本軍は、極寒の八甲田で雪中行軍を実施し、訓練を行う必要がありました。

徳島大尉（高倉健）と神田大尉（北大路欣也）はそれぞれの連隊を率いて行軍することになります。徳島大尉は、少数精鋭の部隊で過酷な条件に挑む計画を立てました。一方、神田大尉は、長大な行程を短期に設定し、兵士たちを引き連れて八甲田山を目指します。

1月20日、弘前第三十一連隊は出発しました。その後、青森第五連隊も出発しますが、天候が悪化し、行軍は次第に混乱を極めていきます。神田大尉は、指揮権を奪われ、行軍の指導が難航し、極寒の雪山で迷子になり、遭難してしまいます。

遭難の顛末

吹雪と混乱の中、神田大尉は次々と隊員を失っていきます。観察者の目から見ても、事件が進むにつれて、指揮系統の混乱や個人の判断ミスが致命的な結果をもたらしていく様子が描かれます。特に、「天は我々を見放した」という言葉が、神田大尉の無念と悲哀を象徴しています。

一方、徳島大尉が指揮する弘前の隊は、事前の準備や経験が功を奏し、計画通りに行軍を続けることができました。彼は冷静な判断で隊をまとめ上げ、無事に八甲田を越えることに成功します。しかし、その成功は仲間である神田大尉の惨状と対比されるものです。

作品の意義

『八甲田山』は、単なる戦争映画を超え、組織の在り方や人間の運命を深く掘り下げています。また、雪山での厳しい環境における人間ドラマを描き出し、視聴者に強い印象を与えました。映画は公開以来、功績として高く評価され続けており、様々なメディアで取り上げられています。また、この作品を通じて、戦争の悲惨さや人間の脆さを再考する機会を提供しています。

最後に

上映から数十年が経った現在も、映画『八甲田山』は多くの人々に愛され続けており、実際の歴史を背景にした感動的な作品として語り継がれています。

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