公学校

公学校とは

公学校（こうがっこう、台湾語：Kong-ha̍k-hāu）は、日本統治時代の台湾において、台湾人の子弟を対象とした初等教育機関です。1898年（明治31年）に制度が整備され、1941年（昭和16年）に国民学校へと改編されるまで、台湾の教育の中核を担いました。

公学校設立の背景

台湾総督府は、1895年（明治28年）に日本語教育を開始し、その普及のために「国語伝習所」を設置しました。その成功を受けて、1898年（明治31年）に「台湾公立公学校規則」などが公布され、公学校制度が正式に発足しました。

公学校は、台湾人の子供たちに道徳教育を施し、実学を授けることで国民性を養い、同時に日本語を習得させることを目的としていました。これは、日本政府の台湾統治政策における重要な要素でした。

公学校の制度

公学校は、8歳以上14歳未満の台湾籍の児童を対象に、6年間の初等教育を実施しました。教育内容は、修身、作文、読書、習字、算術、唱歌、体操など、日本内地における小学校と類似していました。しかし、教科書は台湾総督府が独自に編纂したものが使用されました。

1919年（大正8年）と1923年（大正12年）には公学校規則が改正され、日本内地と同様の教育課程が採用されました。これにより、台湾の初等教育はより体系的なものとなりました。

1941年（昭和16年）には、台湾教育令が改正され、全島の公学校、小学校、蕃人公学校が統合され、国民学校へと改編されました。これにより、台湾における初等教育制度は新たな段階に入りました。

教育の成果

公学校における義務教育の実施により、1944年（昭和19年）までに台湾籍児童の就学数は876,000人に達し、就学率は71.17％と、当時の先進国並みの水準となりました。これは、公学校が台湾の教育水準向上に大きく貢献したことを示しています。

公学校とその他の教育機関

日本統治下の台湾には、公学校の他に、日本人の子弟を対象とした小学校、台湾原住民の子弟を対象とした蕃人公学校、蕃童教育所などがありました。これらの教育機関は、それぞれ異なる対象と教育目的を持っていましたが、台湾の教育制度全体を構成していました。

まとめ

公学校は、日本統治時代の台湾における初等教育の中心的な役割を担いました。日本語教育を通じて日本文化を普及させるとともに、台湾の近代化に貢献しました。公学校の教育は、台湾の社会に大きな影響を与え、その後の台湾の発展の礎となりました。

参考文献

「台湾史小事典」中国書店（福岡）（2007年）監修/呉密察・日本語版編訳/横澤泰夫 151ページ

関連項目

小学校 (台湾)) - 日本統治下の台湾における日本人の学童に対する教育機関。
蕃人公学校 - 日本統治下の台湾における台湾原住民の学童に対する教育機関。
蕃童教育所

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