公安審査委員会設置法

公安審査委員会設置法とは

公安審査委員会設置法（昭和27年法律第242号）は、公安審査委員会の設置、任務、所掌事務、組織について定めた日本の法律です。この法律は、破壊活動防止法や無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律（団体規制法）に基づき、団体に対する規制を行う際の公平性を担保するために制定されました。

制定の背景

破壊活動防止法や団体規制法は、団体に対する解散命令や活動制限などの規制を可能とする強力な法律です。これらの法律が恣意的に運用されると、憲法で保障された結社の自由が侵害される危険性があります。そのため、これらの法律に基づく判断・処分を行う機関として、国民の基本的人権を最大限尊重する手続きを確保するため、公安審査委員会が設置されました。

公安審査委員会の任務と所掌事務

公安審査委員会は、以下の事項に関する審査と決定を行うことを主な任務としています。

1. 破壊的団体に対する規制に関する審査
2. 破壊的団体に対する活動制限の処分
3. 破壊的団体に対する解散の指定
4. 無差別大量殺人行為を行った団体に対する観察処分
5. 無差別大量殺人行為を行った団体に対する再発防止処分
6. その他、法律に基づき委員会に属させられた事務

重要な点として、公安審査委員会は自ら審査を開始することはできず、他の機関からの請求に基づいて審査を行います。これにより、権限の集中を防ぎ、恣意的な判断を抑制する仕組みとなっています。

公安審査委員会の組織

公安審査委員会は、法務省の外局として設置されています。裁判所ではなく行政機関に判断権が与えられているのは、将来的に起こりうる暴力的な破壊活動の危険性を事前に察知し、それに基づいて団体規制を行う措置は、行政権の下で行うのが適当であるという考えに基づいています。

委員の身分は強く保障されており、全員が国会の同意人事です。委員は、破産手続きの開始決定や禁錮以上の刑に処せられた場合、または委員会内部での懲戒処分を受けた場合を除き、在任中に意に反して解任されることはありません。これは、委員に準裁判官的な地位を与えることで、審査・決定の公正性を担保するためです。

また、委員は特定の政党に偏ることがないように、3名以上が同一の政党に所属することは禁止されています。もし3名が同一政党に所属することになった場合、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が委員を罷免し、2名以下になるように調整されます。これは、政党の解散を決定しうる委員会が特定の政党によって支配されることを防ぐためです。

関連法律・項目

• - 公安審査委員会
• - 破壊活動防止法
• - 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律

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