公田ジョウロ塚遺跡

公田ジョウロ塚遺跡：縄文時代の息吹を感じる場所

公田ジョウロ塚遺跡は、神奈川県横浜市栄区公田町に位置する、縄文時代中期（約5000年前）の遺跡です。別名、公田町遺跡とも呼ばれています。この遺跡が特に注目されるのは、人の頭を象った土製品、いわゆる「人面把手」が日本最大級のサイズで出土したことです。

遺跡の概要

遺跡は、栄区役所から南に見える小山の頂上に位置し、その全域が遺跡となっています。現在では住宅地となっていますが、1979年に一部が発掘調査されました。

人面把手：謎に包まれた縄文の遺産

この遺跡から出土した「人面把手」は、縄文土器の一部であり、人の顔を模したものです。現在は神奈川県立歴史博物館に所蔵されています。その大きさは、高さ約16.5cm、幅約20cmで、首から下が欠けています。土器の縁に取り付けられた把手とも考えられていますが、もしそうだとすると、非常に大型の土器であったことになります。そのため、土偶の一部であるという説も存在します。

近年、X線透過撮影による科学的な分析が行われましたが、その正体は依然として謎に包まれています。しかし、把手として使われていたとしても、土偶の一部であったとしても、人間の頭を形作った縄文時代の粘土製品としては日本最大級であり、非常に貴重な文化遺産であることに変わりはありません。

周辺情報

遺跡内には、近世から現代にかけての墓地があり、その中には「照玉姫伝説」にちなんだ上臈塚と呼ばれる塚も存在します。また、遺跡の麓には、「アラハバキ」を祀る市内唯一の祠があります。

まとめ

公田ジョウロ塚遺跡は、縄文時代の生活や文化を垣間見ることができる貴重な場所です。特に、人面把手は、当時の人々の精神性や技術の高さを物語る重要な遺物と言えるでしょう。遺跡を訪れることで、古代の人々の息吹を感じてみてはいかがでしょうか。

参考資料

横浜市教育委員会『昭和57年度文化財年報（埋蔵文化財その1・昭和52～57）』横浜市 1983年（昭和58年）
栄の歴史編集委員会『栄の歴史』栄区地域振興課 2013年（平成25年）3月
栄区地域振興課『栄区郷土史ハンドブック（第5刷）』横浜市 2015年（平成27年）3月
千葉毅「神奈川県立歴史博物館所蔵の土偶・人面把手」『神奈川県立博物館研究報告―人文科学―』38、2012年
千葉毅「神奈川県立歴史博物館所蔵横浜市公田ジョウロ塚遺跡採集 縄文時代土製頭部片のX線CT撮影による分析」『神奈川県立博物館研究報告 —人文科学—』46、2019年（令和元年）10月

関連項目

上臈塚
神奈川県立歴史博物館
土偶
縄文時代

外部リンク

公田ジョウロ塚遺跡の名前の由来について教えてください。 - 公益財団法人 横浜市ふるさと歴史財団 埋蔵文化財センター

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