公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律（公益法人認定法）について

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律（平成18年法律第49号、通称：公益法人認定法）は、公益法人の認定等について定めた日本の法律です。この法律は、公益法人制度改革に伴い、従来の公益法人制度を改組し、一般社団法人及び一般財団法人と公益社団法人及び公益財団法人の二つの区分を設けた際に制定されました。所管官庁は内閣府に設置された公益認定等委員会であり、その事務局として内閣府大臣官房に公益法人行政担当室が置かれています。

法律の概要

公益法人制度改革は、行政改革関連5法案の一つとして実施されました。この改革により、公益法人の認定と監督は、独立した合議制機関の答申に基づいて、内閣総理大臣または都道府県知事が行うこととなりました。国には内閣府に公益認定等委員会が、都道府県には民間人合議制機関が設置されています。一般社団法人・一般財団法人が公益認定を申請し、これらの合議制機関の答申に基づき、行政庁から認定を受けることで、公益社団法人・公益財団法人になることができます。ただし、公益社団法人・公益財団法人も、あくまで公益認定を受けた一般社団法人・一般財団法人であり、一般社団法人・一般財団法人に関する法令も適用される点に注意が必要です。

公益法人として満たすべき事項

公益法人として満たすべき事項は、法律の第5条、第6条に詳細に規定されています。特に財務に関する重要な要件として、以下の4つが挙げられます。

1. 公益目的事業比率: 正味財産増減計算書内訳表における公益目的事業会計の費用が全費用に占める割合が50%以上であること。
2. 収支相償: 公益目的事業の収入が、その実施に必要な費用を上回らないこと。
3. 遊休財産の制限: 事業年度末日時点の遊休財産額が、その事業年度の公益目的事業費を超えないこと。
4. 公益目的事業財産の義務: 公益目的事業財産は、公益目的事業のために使用または処分しなければならないこと。

公益目的事業について

「公益目的事業」とは、別表に掲げる事業であり、不特定多数の者の利益増進に寄与するものを指します。この判断基準は、公益認定等ガイドラインの「公益目的事業のチェックポイントについて」に示されており、受益機会が一般に開かれているかどうかが重要です。受益者が少数であっても、目的から見て合理的であれば問題ありません。別表には、「その他、公益に関する事業として政令で定めるもの」も含まれていますが、2024年5月現在、該当する政令は制定されていません。

別表に掲げる主な事業

別表には、以下の事業が例示されています。

学術、科学振興
文化、芸術振興
障害者、生活困窮者、事故・災害・犯罪の被害者の支援
高齢者福祉の増進
勤労意欲のある人への就労支援
公衆衛生の向上
児童、青少年の健全育成
勤労者の福祉向上
教育、スポーツを通じて国民の心身の健全発達に寄与
犯罪防止、治安維持
事故や災害の防止
人種、性別などによる不当差別の防止、根絶
思想及び良心の自由、信教の自由、表現の自由の尊重や擁護
男女共同参画社会の形成その他のより良い社会の形成の推進
国際相互理解の促進、開発途上国への国際協力
地球環境保全、自然環境保護
国土の利用、開発、保全
国政の健全な運営確保に資する
地域社会の健全な発展
公正、自由な経済活動の機会確保
国民生活に不可欠な物資、エネルギーの安定供給の確保
一般消費者の利益の擁護、増進

収支相償の原則

収支相償とは、公益目的事業における収入が、その実施に必要な費用を超えないようにすることを求める規定です。この規定の判定においては、特定費用準備資金への積み立てや、公益目的保有財産の取得に支出された費用も考慮されます。また、複数の公益目的事業をまとめて損益通算することも可能です。この規定は、公益法人が公益目的のために活動しているかを確認する重要な基準となっています。

法案成立までの経緯

2006年 3月10日に閣議決定され、国会に提出された後、衆議院と参議院での審議を経て、2006年 5月26日に可決・成立しました。

外部リンク

行政改革推進事務局
* 公益法人制度関係法令とガイドライン－内閣府公益法人information

この法律は、公益法人が適正に活動し、社会に貢献するための重要な基盤となっています。

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