公私混同 (曲)

ゆず「公私混同」：ドラマ主題歌として生まれた、共作によるシティポップ

2020年8月17日、セーニャ・アンド・カンパニーより配信リリースされたゆずのシングル「公私混同」。同曲は、ムロツヨシさん、永野芽郁さんらが出演する日本テレビ系ドラマ『親バカ青春白書』の主題歌として書き下ろされました。

この楽曲の大きな特徴は、約5年ぶりに北川悠仁さんと岩沢厚治さんが共同で作詞作曲を手掛けた点にあります。 ゆずの楽曲において、両メンバーによる作詞作曲の共作は非常に珍しく、ドラマタイアップ作品としては2008年の「シシカバブー」以来、約12年ぶりの快挙と言えるでしょう。前作「そのときには」から約3ヶ月ぶりのリリースということも相まって、ファンの期待を大きく膨らませました。

サウンド面では、レトロな雰囲気を醸し出すシティポップ調のアレンジが印象的です。軽快なリズムと洗練されたサウンドプロダクションは、聴く者の心を軽やかに満たします。 北川さんの軽妙な言葉選びと、岩沢さんのシニカルな表現が絶妙にミックスされた歌詞は、楽曲全体の奥行きをさらに深めています。 一見相反するようなこの二つの要素が、見事に調和し、唯一無二の世界観を創り出している点が、この楽曲の大きな魅力と言えるでしょう。

ジャケットアートワークにも注目です。楽曲タイトルと共作というコンセプトを反映し、北川さんと岩沢さんがそれぞれ書いた楽曲タイトル案（北川さんは「公私」、岩沢さんは「混同」）を組み合わせたデザインとなっています。二人の個性が織りなす、遊び心のある、そして少しミステリアスなデザインは、楽曲の世界観を視覚的に表現することに成功しています。

通常のミュージックビデオは制作されていませんが、ゆずの公式YouTubeチャンネルでは、ジャケットアートワークの世界観を拡張したリリックビデオが「Official Audio」として公開されています。歌詞の内容を視覚的に表現したこのビデオは、楽曲の世界観をより深く理解するのに役立ち、聴覚だけでなく視覚からも「公私混同」の世界を楽しむことができます。

「公私混同」は、ゆずがYuziU名義でリリースした唯一の作品でもあります。この名義でのリリースが、楽曲の持つ特別な意味をさらに強調していると言えるかもしれません。

編曲は蔦谷好位置さんが担当。彼の高い音楽性とセンスが、ゆずの楽曲に新たな魅力を与え、完成度を高めています。

「公私混同」は、ドラマタイアップという枠を超え、ゆずの新たな一面を提示した、記憶に残る名曲と言えるでしょう。 5年ぶりの共作、12年ぶりのドラマタイアップ共作曲、そして唯一のYuziU名義でのリリースという点において、ゆずの歴史の中でも特別な位置を占める楽曲であることは間違いありません。 そのレトロで洗練されたサウンド、そして歌詞に込められた奥深いメッセージは、聴く人々に長く愛されるに値する、名曲と言えるでしょう。

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