公証人法

公証人法について

公証人法（明治41年法律第53号）は、公証人制度に関する日本の法律です。この法律は、公証人の使命、職務、および日本公証人連合会の組織について定めています。また、無資格者による公正証書作成や認証事務の取り扱いを禁止し、これらの事務を取り扱う旨の表示も禁止しています。

公証人の職務

公証人が取り扱う主な事務は、以下の4つです。

1. 公正証書の作成: 法律行為や事実関係を証明する公文書を作成します。
2. 私署証書の認証: 私文書の署名や押印が真正なものであることを証明します。
3. 定款の認証: 会社の設立時に作成される定款が適法であることを証明します。
4. 電磁的記録の認証: 電子データが真正なものであることを証明します。

公証人は、正当な理由なくこれらの事務の嘱託を拒否することはできません。もし拒否する場合は、請求に応じて理由を記載した書面を交付する必要があります。公証人の事務処理に関しては、法務局長に異議を申し立てることができ、さらにその処分に対しては法務大臣への異議申立ても可能です。

適法性審査義務

公証人は、作成または認証する証書の内容が法律に適合しているかを審査する義務を負っています。もし内容が適法でないと判断した場合は、証書の作成や認証を拒否できます。この審査は、証書作成の初期段階においては詳細な調査は要求されませんが、審査中に適法性に疑義が生じた場合は、関係者への説明を求めるなどの調査を行う必要があります。また、公証人は、事務処理上の疑義について法務大臣に指示を求めることができます。

公証人法の構成

公証人法は、以下の章で構成されています。

第1章 総則: 法律の目的や用語の定義など、基本的な事項を定めています。
第2章 任免及所属: 公証人の任命や所属に関する事項を定めています。
第3章 職務執行ニ関スル通則: 公証人の職務執行に関する一般的な原則を定めています。
第4章 証書ノ作成: 公正証書の作成に関する詳細な規定を定めています。
第5章 認証: 私署証書や定款の認証に関する規定を定めています。
第6章 代理兼務及受継: 公証人の代理や事務の引き継ぎに関する規定を定めています。
第7章 監督及懲戒: 公証人の監督や懲戒に関する規定を定めています。

公証人法に関する判例

公証人法に関する重要な判例として、最高裁判所平成9年9月4日の判決（民集51巻8号3718頁）があります。この判例は、公証人の調査義務に関する解釈を示したものです。判例によれば、公証人は証書の内容の適法性を審査する義務を負いますが、積極的に詳細な事実調査を行う義務まではありません。ただし、具体的な疑いが生じた場合には、関係者に説明を求めるなどの調査を行う必要があるとされています。

この判例では、公証人が以下の情報を基に審査し、具体的な疑義が生じた場合に調査すれば足りるとしました。

公証人自身が実際に経験した事実
聴取した陳述（書面による陳述の場合はその書面の記載）
過去の職務執行の過程で経験した事実

関連情報

公証人法 - e-Gov法令検索
公証人法施行規則 - e-Gov法令検索
* 公証人法の原文 - ウィキソース

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