公認スキー検定員

公認スキー検定員

公認スキー検定員は、全日本スキー連盟（SAJ）によって正式に認定された資格であり、スキーの検定会や競技大会において技術の評価や順位の判定を行います。この資格は、スキー技術の普及・向上、および競技の公正な実施を支える重要な役割を担っています。

資格の種類と取得

公認スキー検定員には、上級から順にA級、B級、C級の三つの階級が存在します。SAJ公認スキー指導員の資格を持つ者はA、B、C級の検定員検定に挑戦する資格を得られ、SAJ公認スキー準指導員の資格を持つ者はC級の検定員検定に挑戦できます。なお、認定スキー指導員は検定員検定の受験資格はありません。

各級によって要求される受検資格や担当できる検定・大会の範囲が異なります。

各級の詳細

A級検定員

受検資格: SAJ公認スキー指導員資格（資格停止・喪失中を除く）を有し、以下のいずれかの条件を満たす者。
B級検定員の資格取得から5年以上経過し、かつB級検定員として担当可能な検定を3回以上実施した証明があること。
デモンストレーター選考会でナショナルデモンストレーターに認定された者（この場合はB級検定員資格所持期間は問わない）。
特別な事情により、所属団体長の推薦を受け、SAJ本部が特に認めた者。

担当できる検定・大会: A級・B級・C級検定員検定会、全日本スキー技術選手権大会および予選会、スキー指導員検定会、スキー準指導員検定会、スキーバッジテスト（クラウンプライズ、テクニカルプライズ、1級〜5級、ジュニアテスト1級〜6級）。ただし、A級検定員検定会はSAJ会長から、B級・C級検定員検定会は主管団体長から委嘱された場合に限る。

名誉スキー検定員

A級検定員資格（資格停止・喪失中を除く）を所有し、当該年度の1月1日現在で満60歳以上の者が、所属団体長の推薦を経て理事会で認定されると顕彰されます。名誉スキー検定員は、検定員の育成や指導に対する補佐や助言を行います。

B級検定員

受検資格: SAJ公認スキー指導員資格（資格停止・喪失中を除く）を有し、かつC級検定員資格（資格停止・喪失中を除く）を所持していること。年度内の受検回数に制限はない。

担当できる検定・大会: C級検定員検定会（主管団体長から委嘱された場合）、スキー準指導員検定会、スキーバッジテスト（クラウンプライズ、テクニカルプライズ、1級〜5級、ジュニアテスト1級〜6級）、全日本スキー技術選手権大会の予選会。

C級検定員

受検資格: SAJ公認スキー指導員または準指導員資格（資格停止・喪失中を除く）を所持していること。年度内の受検回数に制限はない。

担当できる検定・大会: スキーバッジテスト（1級〜5級、ジュニアテスト1級〜6級）。

資格の維持と規則

公認スキー検定員の資格は、認定された年度を除き、効力は2年間です。資格を維持するためには、この期間内に「クリニック」と呼ばれる理論および実技の講習会を受講することが義務付けられています。クリニックを受講することで資格の有効期間が延長されます。2年連続でクリニックを受講しなかった場合は資格停止となりますが、資格停止期間中でもクリニックを受講することは可能であり、修了すれば資格停止は解除されます（2020年11月6日改正により、修了した年度から解除）。

以下の場合、クリニックの受講が免除されることがあります。

名誉スキー検定員である。
A級またはB級検定員検定を受検したが不合格となった。
中央研修会や全日本スキー技術選手権大会など、特定のSAJ主催事業に役員または講師として参加し、理事会が特に認めた。
中央研修会、技術員研修会などの特定のSAJ特定行事を修了した。
スキー大学の参加者で、所属団体からクリニック修了扱いの申請があった。
所属団体が実施するスキー指導者研修会や検定員クリニックなどに役員として参加し、所属団体からクリニック修了扱いの申請があった。

資格の喪失

以下のいずれかに該当する場合、検定員の資格は喪失します（名誉スキー検定員も同様）。

SAJ会員登録規定に基づき、会員資格を喪失した。
SAJ規約に違反し、検定員としての品位を損なう行為があった。
定められた期日までに年次登録料を納入しなかった。
公認スキー指導員または準指導員の資格を喪失した。

資格の再認定

資格を喪失した場合でも、SAJの定める「過年度登録者に係る資格再認定規程」に基づき、再認定を申請することが可能です。再認定を受けるためには、資格喪失から1年以内であること、会員登録が完了していること、所属団体長が再認定を承認していること、そして必要な再認定申請料を納付した上で、喪失から1年以内の3月末日までに申請する必要があります。申請は理事会の審議を経て判断され、再認定が認められた場合は翌年度から資格が有効となります。

新型コロナウイルス感染症への対応

2019年以降の新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、特に2020年以降、政府からのイベント中止要請や感染拡大防止の観点から、SAJ主催の検定会や研修会が中止・延期される事態が発生しました。これに対応するため、2021-2022年度を中心に以下のような特別措置が取られました。

受検の特例: 2020年度に準指導員検定会が中止となり受検が完了できなかった者がB級検定員を目指す場合、準指導員資格取得後に発行される「2020特別措置」チケットを利用し、合格年度を含まず1年以上経過していればB級検定員検定の受検が可能となる措置が取られました。
クリニックのeラーニング化: 理論クリニックは、感染リスクを考慮し、会場での開催に代えて、オフィシャルブック付属DVDやSAJ公式YouTubeチャンネルでの動画閲覧によるeラーニング形式が導入されました。実技研修会への参加をもって研修会全体の修了とみなされました。
中止に伴う措置: クリニック免除の条件となる行事（A・B級検定員検定、特定の研修会、スキー大学など）への参加を希望・申し込みしていたにも関わらず、当該行事が中止となった場合、行事によっては参加費の一部返金が行われるとともに、クリニック修了扱いとされるなどの特別措置が講じられました。

各種検定会や研修会の実技については、感染予防対策が呼びかけられましたが、感染拡大等の状況により予定が変更または中止される可能性があることが明記され、最新情報の確認が促されました。

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