公開書架

公開書架（こうかいしょか）とは、図書館において、利用者が図書やその他の資料を直接手に取り、閲覧できる形式の書架を指します。これは、利用者が自由に資料を選べるようにすることを目的としており、図書館の利便性を大きく向上させる要素の一つです。一般的に「開架」や「接架」とも呼ばれます。

歴史

公開書架の概念は、19世紀末のアメリカで生まれました。図書館学者のアーサー・エルモア・ボストウィックは、「公開書架と館外貸出は公共[[図書館]]のマグナカルタである」と述べ、その重要性を強調しました。当時、アメリカでは利用者が書架に自由にアクセスできることで、読書の選択肢を広げる試みが積極的に行われていました。

日本においては、1907年に佐野友三郎が山口県立図書館で、収蔵しきれなくなった図書を書架ごと公開したのが、最も古い事例とされています。しかし、戦前は蔵書の管理や保存が重視されていたため、公開書架が本格的に普及したのは戦後のことです。

1960年代に入ると、日本の図書館でも館外貸出が一般化し、それに伴い書庫の公開が進みました。貴重な文献などを除き、多くの図書館で資料が公開されるようになり、利用者は読みたい本を選んで借りられるようになりました。この変化は、図書館がより開かれた場所となり、地域住民の学習や情報収集に役立つようになったことを示しています。

公開書架は、単に本を並べる棚以上の意味を持ちます。それは、図書館の理念を具現化するものであり、利用者の知的好奇心を刺激し、学びの機会を提供する重要な役割を果たしています。今日では、ほとんどの図書館で公開書架が採用されており、利用者にとってなくてはならない存在となっています。

関連事項

開架式図書館: 公開書架を採用している図書館の形態を指します。利用者が自由に資料を選び、閲覧や貸出ができる点が特徴です。

参考文献

図書館用語辞典編集委員会 編『最新図書館用語大辞典』柏書房、2004年。ISBN 9784760124893

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