六甲のおいしい水

六甲のおいしい水（ろっこうのおいしいみず）は、1983年に初めて発売されたミネラルウォーターで、当初はハウス食品が製造・販売を行っていました。このブランドは日本の家庭用ミネラルウォーターのパイオニアとも言え、2010年からはアサヒ飲料が責任を引き継ぎ、現在に至っています。

水源

この水の由来は、神戸市灘区にある篠原南町から採水され、六甲山系の花崗岩層を通って地下水を採取します。この背景には、神戸市内の意外な場所にある採水地という特性があり、時にはメディアに取り上げられることもあったほどです。元々は小規模な牛乳飲料メーカーの工場跡地が採水地であり、特異な環境で水が生まれることで、この商品は特に注目を集めています。

採水された水はトレーラーで奈良県の工場へ運ばれ、そこでボトリングされます。これは一般的なミネラルウォーターの製造方法とは異なり、特異な物流システムを構築しています。2004年からは新しい六甲工場で直接採水が行われるようになり、現在の製品はここで製造されています。製造工程では、ミクロフィルターによる無菌技術を駆使し、熱処理を行わない「フレッシュ無菌パック製法」を取り入れることで、品質が保たれています。

歴史

ハウス食品時代

1983年に登場したこの水は、国内のミネラルウォーター市場において重要な地位を築きました。発売当初はアルミ箔でコーティングされた紙パックに詰められていましたが、その後の規制緩和によってペットボトルでの販売が可能となりました。日本で初めて冷蔵庫にも収納しやすい角型の2リットルボトルを導入したことも、この製品の特徴です。今では多くの家庭で愛用されており、海外にも輸出されています。

アサヒ飲料時代

2010年、アサヒ飲料がこのブランドを引き継ぐことが決まり、53億円で事業を取得しました。これにより、アサヒ飲料は新たなミネラルウォーター製品として「おいしい水六甲」を登場させました。2011年には新型ボトル「らくエコボトル」を導入し、従来のペットボトルよりも軽量化に成功しました。

2012年のブランド名変更は、製造拠点を多様化し、供給能力を向上させるためのもので、販売エリアは西日本に集中しました。一方で、東日本向けには「おいしい水富士山」が販売されています。

宣伝活動

1990年代に多くの有名人が広告キャンペーンに出演しました。西城秀樹や中村吉右衛門、さらに阪神タイガースの選手たちがその一員です。このような豊富なプロモーション活動は、商品の認知度を高める要因となりました。

パッケージデザイン

今も続くこの商品のパッケージには、顕著なデザインが施されており、特に水の文字が浮き上がるレリーフ加工が特徴的です。アサヒ飲料に引き継がれた当初からパッケージデザインは基本的に変更されず、長年のブランドイメージが大切にされています。

まとめ

「六甲のおいしい水」は、数十年にわたる歴史を持ちながら、進化し続けてきたミネラルウォーターです。水源の特性、製造方法、ブランドに関わる人々の思いが詰まったこの商品は、今後も日本の水文化を支え続けることでしょう。

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