六甲全山縦走

六甲全山縦走大会：六甲山系の壮大な挑戦

神戸市須磨浦公園から宝塚市まで、六甲山系を縦走する全長約56kmのマラソン大会「六甲全山縦走大会」。1975年の第1回開催以来、多くのランナーを魅了し続けている、歴史と伝統を誇る一大イベントです。

大会概要

この大会は、六甲山系の豊かな自然を満喫できる、挑戦的なコース設定が特徴です。須磨浦公園を出発し、須磨アルプス、高取山、菊水山、掬星台、一軒茶屋などを経て、宝塚へと至る全長約56kmの道のりは、参加者にとって大きな試練となります。

大会は、体力に応じて参加できるよう、1日完走を目指す「全縦走」と、コースの約半分を歩く「半縦走」の2つの種目があります。

1975年の第1回大会から2019年の第45回大会までに、延べ16万人を超えるランナーが参加し、そのうち約84％が完走するという高い完走率を誇ります。これは、参加者の高いモチベーションと、大会運営の丁寧さを示すものでしょう。

大会歴史：加藤文太郎と六甲山の歴史

六甲全山縦走の歴史は、日本の登山史に名を残す加藤文太郎の偉業に深く関わっています。新田次郎の小説『孤高の人』でも知られる加藤文太郎は、かつて1日で須磨から宝塚まで、そして再び須磨まで往復したという逸話が残っています。この伝説的な挑戦が、六甲全山縦走のコース整備のきっかけとなりました。

1925年には、既に須磨浦公園から宝塚までの縦走が記録されており、翌年には「第1回六甲山脈大縦走」として、宝塚から須磨への逆縦走が開催されました。

1970年代前半、神戸市が市民の余暇活動を促進するため「余暇開発課」を設置。その中で、六甲山の活用方法として、登山やハイキングの需要の高まりに着目しました。一人では不安という市民のために、安全を確保した上で、六甲全山縦走大会の開催が決定。1975年の勤労感謝の日に、第1回大会が開催されました。当初は神戸市在住・在勤者限定でしたが、参加者の増加と安全面の確保を経て、第12回大会からは市外からの参加も受け入れるようになりました。

大会の中断と再開

近年は、新型コロナウイルス感染症の流行の影響を受け、第46回、第47回大会は中止、第48回大会は規模を縮小して開催されました。例年4300名規模だった参加者数は、1800名に制限されるなど、大会運営にも変化が見られました。

未来への展望

六甲全山縦走大会は、単なるマラソン大会ではなく、自然との共生、挑戦、そして完遂の喜びを味わえる、かけがえのない体験を提供するイベントです。歴史と伝統を背景に、今後も多くのランナーにとって、記憶に残る大会であり続けることでしょう。今後の大会運営においても、安全面への配慮はもちろんのこと、参加者一人ひとりが六甲山の自然と歴史に触れ、充実感を感じられるような工夫が期待されます。

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