六角獄舎

六角獄舎の歴史と変遷

六角獄舎（ろっかくごくしゃ）は、京都に存在した歴史ある牢獄であり、平安時代からの塞獄と右獄の系譜を持っています。元々その起源は、三条新地に設けられた牢屋敷に遡りますが、度重なる移転を経て、1708年の宝永の大火後に現在の中京区六角通神泉苑西入南側に移され、以降この土地で「六角獄舎」として知られるようになりました。

牢獄としての役割の変化

この施設は、平安時代から様々な囚人を収容し続けました。特に豊臣秀吉の時代には小川通御池上ルに移され、その後宝永5年の大火によって現在の場所に定着しました。地図には「牢屋敷」と記載されており、その存在が証明されています。また、その敷地内には珍しい切支丹牢も存在し、広さ約十八畳であったと言われています。この牢は、江戸時代でも稀な存在として注目されました。

特筆すべきは、1754年に医学者・山脇東洋が日本初の人体解剖を行ったことです。この解剖は死刑囚を対象に行われ、以後の医学に多大な影響を及ぼしました。解剖記録は重要な文献として評価され、今に至るまで読み継がれています。

幕末の動乱とその影響

幕末に入ると、六角獄舎はさらに激動の時代を迎えます。井伊直弼による安政の大獄により、多くの政治犯や尊皇攘夷派志士が囚われ、処刑されるケースが増えていきます。また、囚人同士の間での思想的な交流も活発となり、尊皇論が語られる場所にもなりました。

1864年に勃発した禁門の変による火災に際して、囚人たちの逃亡を恐れた町奉行は、33人もの囚人を斬首しました。この火災の危機を乗り越えたものの、新選組の関与が疑われた事件が続く中、六角獄舎の役割は大きく変化していきました。

明治以降の変遷

明治維新後、六角獄舎は保護施設に改築されます。斬首に使用された刀の洗い場であった「首洗井」は埋め立てられましたが、その跡地は密かな心霊スポットとして多くの人に知られることとなりました。1885年まで分監として利用された後、感化保護院が設立され、社会復帰を果たした者たちの支援を行う役割を担うようになりました。

最終的に、感化保護院は市から譲渡を受け、その後の改築や不動産開発が進んで現在に至っています。これにより、当時の歴史的な面影は薄れつつも、その影響は続いています。

まとめ

六角獄舎は、その長い歴史の中でさまざまな事件や人々に深く関わってきました。その今は歴史的な意義を持つ地として知られており、訪れる人々は過去の厳しい歴史に思いを巡らせています。この場所の歴史を知ることは、京都の医療や政治の背景を理解するために欠かせないものと言えるでしょう。

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