共同保育所

共同保育所 — 日本のユニークな保育システム

概要

共同保育所、または共同保育園は、日本における乳幼児の保育を目的とした施設であり、保護者などが協力して運営を行います。一般的には家庭の一部を利用する形態の認可外保育施設として起源を持ちますが、一部の認可保育所ではこの名称を使用しているケースも見られます。共同保育所の特長としては、保護者が運営に深く関与することが挙げられます。

運営の仕組み

共同保育所は、様々な形態の組織によって運営されています。任意団体や社会福祉法人、特定非営利活動法人などがあり、いずれも共同で保育サービスを提供することを目的としています。他の保育施設と異なり、運営において保護者と保育者が定期的に協議を重ねることで、方針や運営の具体的な事柄が決定されるため、非常に保護者の関与が強いです。さらに、共同保育所は一般に小規模で、異年齢の子どもたちが一緒に遊ぶことが特徴です。

歴史：初期の共同保育所

日本の共同保育所の取り組みは、第二次世界大戦後の公立保育所が普及していなかった時代から始まりました。都市部では共働き世帯が増え、共同で保育を行う試みが広がりを見せました。1953年には、東京大学に職場保育所の「ゆりかご保育園」が設けられ、これもまた共同保育の一面を持っていました。1954年には「働く母の会」が設立され、各地で共同保育所の運営を進め、公的支援がほとんどない中で廃品回収等を通じた運営費の捻出が行われました。

初期の共同保育所の一例として、1962年に開設された「池内共同保育所」が挙げられます。名古屋市の市営住宅に住む夫妻が自宅の一部を提供し、市の公立保育所建設運動にもかかわりました。また、「あゆみ保育園」も同じ年に開設され、「無認可共同保育所の草分け」として知られています。さらに、障がいを持つ子どもたちのための保育施設設置や、障がい児を普通児と共に保育する試みも行われました。

1970年代からの運動の広がり

1970年代から1980年代にかけて、全国各地で共同保育所拡充の運動が広がりました。この時期には「あんふあんて」の設立といった大規模なネットワークも登場しました。また、従来の共同保育所にとどまらず、家族の自立を目指す新たな形態の取り組みも増えました。これらの運動により、多くの共同保育所が公的な支援を受けるようになり、認可保育所への移行も進みました。

子ども・子育て支援新制度

2012年に策定された子ども・子育て支援法以降、共同保育所の一部も新制度に基づく運営体制への見直しを求められるようになっています。この変化によって、従来の運営スタイルを維持し続けることが難しくなってきているのが現状です。

まとめ

日本における共同保育所は、保護者が自らの手で保育を運営する新しい形の施設であり、保育と家庭の密接な関係性が反映されたものです。歴史的な背景とともに、共同保育所の多様な形態や運動の発展が、今後の保育制度にも大きな影響を及ぼすことでしょう。

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