共同出版

共同出版とは

共同出版は、主としてセミプロやアマチュアの書き手を対象とした出版形式です。出版社が企画から費用を全て負担する「企画出版」と、著者が費用を負担する「自費出版」の中間的な位置づけとされ、著者と出版社が費用を分担する形式として知られています。出版社によっては「協力出版」とも呼ばれます。特に学術分野においては、自費出版と並んで採用されることがあります。

共同出版の問題点

出版業界に詳しくない一般の著者を対象とするため、出版社から提示される費用が一律ではないという問題があります。この種の商法は、過去に藤原新也氏や有田芳生氏によって指摘され、週刊文春でも記事として取り上げられました。また、出版社の経営破綻に関する問題は、読売新聞のオンライン版でも報道されています。自費出版や共同出版を謳う業者の不透明な契約については、2000年以前にも問題が発生していました。

2007年には、元大学教授ら3人が、新風舎との契約で全国の書店で販売されると勧誘されたにもかかわらず、実際には一部の書店でしか販売されなかったとして、約800万円の損害賠償を求める訴訟を東京地方裁判所に起こしました。

2007年以降の共同出版

団塊の世代の定年退職後、「自分史」制作の需要増加が見込まれました。ブログの書籍化、戦争体験や闘病記の記録といったニーズに応えることが期待される一方で、出版不況の中で出版社が著者に費用負担を求める傾向が強まり、前述のような問題が発生しました。これらの問題が一般に認識されるにつれて、「共同出版」という言葉自体が、出版社で使用されなくなってきています。

契約時には、取次ぎを通して全国に流通させることが謳われますが、新刊委託配本と注文のみの流通の違い、新刊委託配本後の返本リスクの説明が曖昧な場合があります。出版業界に不慣れな著者にとっては、出版社との間で不公正な契約となる可能性も指摘されています。著者側からすると、出版された書籍の動向は出版社からの情報に依存するため、出版社が虚偽の報告や説明をしても、著者が第三者から情報を得ることは困難です。そのため、本の制作費に対して適切な流通サービスが伴わない自費出版と比較して、著者にとってのリスクが高いと言えます。

「全国に配本」「本をずっと売り続ける」といったセールストークがありますが、500部から1000部程度の小部数では、著者がイメージするような大型書店への配本とは異なる結果になることがあります。また、「本をずっと売り続ける」という言葉も、新刊委託配本後の返本後の対応が曖昧なケースがあり、トラブルの原因となる可能性があります。費用を折半する契約であるならば、出版社が何に対して費用を支出したのか、証拠書類とともに著者に明確に提示する必要があります。そうでない場合、出版社が本当にリスクを分担しているのか確認できず、トラブルに発展する可能性があります。

参考記事

出版契約の内容が出版社側に有利に偏っているケースも見られます。

参考記事

共同出版を検討する際には、契約内容を十分に理解し、慎重な判断が求められます。

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