兵器用核分裂性物質生産禁止条約

兵器用核分裂性物質生産禁止条約（FMCT）について

兵器用核分裂性物質[生産]]禁止条約、略称FMCTは、核兵器の製造に必要な高濃縮ウランやプルトニウムの生産を禁じ、さらにこれらの物質の他国への輸出および技術供与を禁止する多国間の国際条約です。この条約は、核兵器の拡散を抑制し、最終的には核兵器の削減や廃絶を目指す核拡散防止[[条約]や[包括的核実験禁止条約]と同様の目的を持っています。

条約の背景と進展

FMCTの制定に向けた動きは1993年に始まり、アメリカ合衆国政府が条約の必要性を提言したことからスタートしました。国連総会では、条約制定に向けた多国間交渉を行うことが決議され、ジュネーブ軍縮会議でその対応が進められることとなりました。しかし、その後の交渉はスムーズには進展せず、1995年には交渉委任案が採択されたものの、交渉方法に関して意見の相違があり、実質的な交渉が開始されることはありませんでした。

2000年には、核拡散防止条約の運用検討会議においてFMCTの交渉を直ちに開始するという提案がなされ、それを基に進展が期待されましたが、中華人民共和国が別の条件を持ち出すことで、交渉が再び停滞することになりました。具体的には、中華人民共和国は宇宙空間における軍備競争の防止（PAROS）との同時交渉を主張し、アメリカ合衆国はこれに反対しました。この背景から、進展が著しくない状況が続いていました。

日本の提案と国際的な合意形成

2003年8月、日本政府はFMCTに関する法的枠組みや検証技術について提案を行いました。この提案は、条約の範囲や必要な国際的な枠組みを定めるための重要なステップとみなされました。2006年には、ジュネーブ軍縮会議議長国による提案で再びFMCTについての検討が行われ、アメリカ合衆国はその際に条約案を提示しました。また、日本政府も引き続き具体的な定義や検証基準に関する提案を行いました。

2009年5月には、アルジェリア政府から交渉を進めるための計画案が提案され、これが採択されることによって、FMCTに向けた具体的な歩みが再開されました。

現状と今後の展望

2023年10月現在、FMCTはまだ具体的な条文案が整備されておらず、交渉方法についての合意も成立していません。今後は、さまざまな国が協力し合い、FMCTの採択に向けた交渉を進めることが求められています。この条約の成立は、国際的な核軍備の削減と平和の維持にとって不可欠な要素となるでしょう。

FMCTは、核兵器のない世界を目指す重要な枠組みであり、その実現には国際社会全体の連携と協力が必要不可欠です。

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