内山真龍

内山真龍（うちやま またつ）は、1740年（元文5年）に遠江国（現在の静岡県浜松市天竜区）で生まれ、1821年（文政4年）に没した江戸時代の国学者です。幼名は市六、後に龍麿と改め、通称を彌兵衛や徳右衛門と称しました。号は龍洞などを用い、本姓は藤原氏です。

生涯と学問

内山真龍は、商人の内山美真の長男として生まれました。家業を継いだ後、1760年（宝暦10年）に転居し、1762年（宝暦12年）に賀茂真淵、渡辺蒙庵、田中道麿に師事し、国学の道に入りました。真淵からは和歌や『日本書紀』などの古典文学、蒙庵からは儒学を学び、後に本居宣長と協力し、遠江における国学の基礎を築きました。

真龍の学問の特徴は、実地踏査を重視した実証的かつ実利的な点にあります。文献だけでなく、実際に現地を訪れ、その土地の歴史や文化を詳細に調査しました。この実証的な姿勢は、彼の著作に色濃く反映されています。

主な業績

内山真龍は、『出雲風土記解』『遠江国風土記伝』『日本紀類聚解』など、数多くの著作を遺しました。特に『日本紀類聚解』は、光格天皇の天覧に供され、絶賛されたと伝えられています。

『日本紀類聚解』

1812年（文化9年）に刊行された『日本紀類聚解』は、写本で全15巻からなる大著です。この書物は、日本の歴史を詳細に分析し、その解釈を提示したもので、真龍の国学研究の集大成とも言えるでしょう。

『出雲風土記解』

1787年（天明7年）に刊行された『出雲風土記解』は、写本で全3巻からなり、出雲国の風土記を詳細に解説したものです。真龍の実証的な研究姿勢が良く表れており、後の風土記研究に大きな影響を与えました。

『遠江風土記伝』

1789年（寛政元年）に刊行された『遠江風土記伝』は、故郷である遠江国の風土記をまとめたものです。この書物には、真龍が実際に現地を調査し、その土地の歴史や文化、地理などを詳細に記録した様子が伺えます。

その他の著書

その他にも、『国号考』（1796年刊行）、『地名記』（1803年刊行）、『古事記謡歌註』（1813年刊行）など、多くの著作を遺しています。

全国への旅と交流

『風土記』の研究のために全国を訪れ、多くの儒学者や詩人と親交を深めました。この旅を通じて、彼は各地の文化や歴史に対する理解を深め、自身の研究に活かしました。

遠江国学の発展

内山真龍は、多くの国学者を育成し、遠江国学の発展に大きく貢献しました。彼の門下からは、石塚龍麿、夏目甕麿、小国重年、高林方朗などの優秀な国学者が輩出されました。

資料館

1996年11月には、故郷の浜松市で内山真龍の資料館が創設され、彼の業績と生涯を紹介しています。この資料館は、真龍の研究や遺品を保存し、後世に伝える重要な役割を果たしています。

まとめ

内山真龍は、実証的な研究と精力的な著作活動を通じて、江戸時代の国学の発展に大きく貢献しました。彼の学問は、単なる文献研究に留まらず、実地調査を通じて地域文化や歴史を理解しようとする姿勢に特徴があります。その功績は、今日においても高く評価されています。

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