内山秀夫

内山秀夫は、1930年に東京で生まれ、2008年に亡くなった日本の政治学者です。慶應義塾大学で経済学と法学を修めた後、アメリカ連邦議会研究員を経て、同大学の法学部助教授、教授を歴任しました。1988年には慶應義塾福澤研究センター所長に就任し、1994年から1998年まで新潟国際情報大学の学長も務めました。1995年には慶應義塾大学の名誉教授となり、1999年には「比較政治の方法に関する研究」で博士（法学）の学位を取得しました。

内山秀夫の専門は政治学であり、特に比較政治学、政治理論、政治思想史に関する研究で知られています。その研究は、政治体制、政治変動、政治文化、民主主義など、幅広いテーマに及び、現代政治学の発展に大きく貢献しました。また、政治学の古典や現代的な文献の翻訳も積極的に行い、日本の政治学研究の発展に尽力しました。

著書としては、『政治発展の理論と構造』（1972年）、『第三世界と現代政治学』（1974年）、『政治文化と政治変動』（1977年）、『政治学における現代』（1979年）、『政治における理想と現実』（1980年）、『民族の基層』（1983年）、『日本の政治環境』（1988年）、『比較政治考』（1990年）、『政治は途方に暮れている――その理念と現実』（1994年）、『私立の立場から』（1994年）、『政治と政治学のあいだ』（1998年）などがあります。これらの著書は、政治学の理論的な側面だけでなく、現実の政治現象を分析しており、社会科学における広い視野からの分析を示しています。また、『増補・民族の基層』（2006年）は、民族問題に関する深い洞察を示しています。

翻訳書としては、S・M・リプセットの『政治のなかの人間――ポリティカル・マン』（1963年）、C・E・ブラックの『近代化のダイナミックス――歴史の比較研究』（1968年）、D・E・アプターの『近代化の政治学』（1968年）、ロバート・A・ダールの『民主主義理論の基礎』（1970年）、サミュエル・ハンティントンの『変革期社会の政治秩序』（1972年）、アーレンド・レイプハルトの『多元社会のデモクラシー』（1979年）など、多数の著名な政治学者の著書を翻訳しました。これらの翻訳を通じて、海外の優れた研究成果を日本の研究者に紹介し、日本の政治学研究の国際化に大きく貢献しました。

内山秀夫の研究業績は、政治学の分野に多大な影響を与え、後進の研究者たちに大きな刺激を与えました。彼の著作は、現代政治の理解を深める上で重要な文献として、今日も読み継がれています。

主な研究分野は以下の通りです。
比較政治学
政治理論
政治思想史
民主主義研究
* 民族問題研究

内山秀夫は、教育者としても優れており、多くの学生を育成しました。彼の講義は、学生たちに深い思考を促し、政治学への興味関心を高めるものでした。また、その人柄から、多くの同僚や学生から尊敬され、慕われていました。

もう一度検索